三角比の単元のときの注意点リストを書きました。

特に、相互関係の公式に絞って書いています。

三角比の相互関係の公式

三角比の相互関係の公式は、数学I(三角比)と数学Ⅱ(三角関数)の教科書を合わせると3回同じ式が出てきます。

  • $\displaystyle \sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1$
  • $\displaystyle \tan \theta = \frac{\sin \theta}{\cos \theta}$
  • $\displaystyle \tan^2 \theta + 1 = \frac{1}{\cos^2 \theta}$

2乗の書き方(教えてもらえない時も)

三角比の2乗(平方)は、通常と書き方が違います。

$\sin A$ の平方のことを $\sin^2 A$ と表記します。$\sin A^2$ とは表記しません。

$$\sin^2 A =( \sin A )^2 = \sin A \times \sin A$$

$\sin$ に2乗を付ける理由は、$\sin A$ を2乗しているのか、$A$ を2乗しているのかを区別するためです。

具体的に見ると、違いがよく分かります。

$\sin^2 25^{\circ} = \sin 25^{\circ} \times \sin 25^{\circ}$ と、

$\sin 25^{\circ} \ {}^2 = \sin 625^{\circ}$ は違います。

シータについて(適当に書かない)

角度を表す記号でシータ $\theta$ が登場します。

シータ $\theta$ はギリシャ文字です。

アルファ $\alpha$ や ベータ $\beta$ の仲間です。(通常使用している、アルファベットの $a$ や $b$ は、ラテン文字(ローマ字)です。)

ギリシャの文字を利用しています。

変数 $\theta$ の意味(大事!)

三角比(三角関数)の変数である $\theta$ の意味は3通りあります。

正確な説明は授業であまりされないかもしれません。

鋭角の角度 $\theta$

鋭角とは $0^{\circ} < \theta < 90^{\circ}$ の角度のことです。

$\theta$ が鋭角のときは、対応する直角三角形があ流ので、三角形の一つの角度を使いやすいです。

$\theta$ ではなく、三角形の角度を表す $A$ を利用することが多いです。

$0 \sim 180$ 度の角度 $\theta$

0度から180度までの角度のときは、対応する直角三角形が考えられないので、三角形の頂点を表す $A$ などは利用できません。

そこで、$A$ などの記号よりも $\theta$ が好まれて使われます。

弧度としての長さ $\theta$

弧度法(円弧の弧長)のときは、$\theta$ は厳密には長さです。

長さの場合は、よく利用する変数である $x$ を変数として使うことも自然です。

だから、数学Ⅱの三角関数の単元では、$\sin \theta$ や $\sin x$ が両方出てきます。

三角比の相互関係の計算テクニック

公式の使い分け(最も大事!)

相互関係の公式を計算するときの注意点に移ります。

  • $\displaystyle \sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1$
  • $\displaystyle \tan \theta = \frac{\sin \theta}{\cos \theta}$
  • $\displaystyle \tan^2 \theta + 1 = \frac{1}{\cos^2 \theta}$

公式の番号は、①②③を使います。

そもそも相互関係の公式は、1つの三角比の値が分かっているときに、他の三角比の値を求めるために利用することが大きな役割です。

既知の三角比を1列目に、求めたい三角比を1行目に書きました。

求める値→$\sin A$$\cos A$$\tan A$
$\sin A$×まず①を使う次に②を使う
$\cos A$まず①を使う×次に②を使う
$\tan A$次に②を使うまず③を使う×

他には、$\cos A$ が分かっているときに、$\tan A$ だけを求める必要があります。この場合は、③の公式だけを利用しましょう。

公式の形の変形(計算しやすく)

相互関係の②の公式は、3つの形に変えられることが大切です。

特に、計算が苦手な方は、知っておいてください!

②の公式は、次の形でした。

$$\tan A = \frac{\sin A}{\cos A}$$

次の2つの式も同じ公式です。

$$\tan A = \sin A \div \cos A$$

$$\sin A = \tan A \times \cos A$$

$\tan A = \sin A \div \cos A$

公式の一つ目の変形パターンは、$\sin A$ と $\cos A$ から、 $\tan A$ を求める際に便利です。

公式の元の形のままでは、「分数ぶんの分数」になってしまうなることが多く、計算が苦手な人は間違えやすいです。

「分数 $ \div$ 分数」とすれば、後ろの分数をひっくり返して掛け算をすれば良いので、計算が容易になります。

$\sin A = \tan A \times \cos A$

公式の二つ目の変形パターンは、$\tan A$ と $\cos A$ から、$\sin A$ を求める際に便利です。

2つの三角比を掛けるだけで、$\sin A$ を求められるので考えやすいです。

以上、相互関係の公式②について、計算がしやすい表記を紹介しました。

その他の注意点

三角比の相互関係の公式は、慣れると機械的に計算できます。

しかし、初めて学ぶときには、ややこしい表記や計算が混在しています。

学ぶ方も、教える方も忘れずにしないといけないことを整理しました。

あと、今回は書きませんでしたが、苦手な方は、次の2点も知っておくと苦手が解消されると思います。

$\cos A$ が分数のときの $1/\cos^2 A$の計算

$\cos A$ が分数である場合が多いです。③の公式を利用するとき、$\displaystyle \frac{1}{\cos^2 A}$ の計算をどうするかは、苦手な方は知っておく必要があります。

平方根をとるときの三角比の正負

角度 $\theta$ の存在範囲によって、$\sin^2 A$ から2乗を外して $\pm \sin A$ にしたとき、正負のどちらを選ぶかを決める必要があります。

これらの2点は、今回は割愛しました。すみません。

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