トーラスの数式や名称、性質を紹介します。

トーラス上の名称

ドーナツをイメージしてください。

トーラス上のループ(円周)

水平方向に回転する円周 $\mathbf{S}^1$ は、ロンジチュードループ(緯線)と呼ばれます。

垂直方向に回転する円周 $\mathbf{S}^1$ は、メリディアンループ(経線)と呼ばれます。

トーラスを表す記号

トーラス(ドーナツ)は「円周を円周でグルッと回した形状」と言うことができます。

円周を $\mathbf{S}^1$ と書くと、数学的にはトーラス $\mathbf{T}$ は $\mathbf{T} = \mathbf{S}^1 \times \mathbf{S}^1$ と表せます。

トーラスの数式

最大のロンジチュードループの半径が $R+r$ , 最小の半径が $R-r$ で、メリディアンループの半径が $r$ のトーラスを紹介します。

トーラスの方程式

$R, r > 0$ のとき、次式はトーラスを表します:

$$(\sqrt{x^2+y^2}- R)^2 + z^2 = r^2$$

媒介変数表示

$R, r > 0$, $0 \leq \theta, \varphi < 2 \pi$ のとき、次式はトーラスを表します:

$$\left\{\begin{array}{rl}
x &=& (R + r \cos \theta) \cos \varphi \\
y &=& (R + r \cos \theta) \sin \varphi \\
z &=& r \sin \theta \\
\end{array} \right. $$

数式の解説

媒介変数表示の数式の導出を説明します。方程式は、媒介変数表示の式でパラメータを消去すれば得られます。

ロンジチュードループの観察

変数 $\theta$ を固定して、トーラスを観察しましょう。

媒介変数表示の式から、次の2式が成立します:

$$\left\{ \begin{array}{cl}
x^2 + y^2 &=& (R + r \cos \theta)^2 \\
z &=& r \sin \theta
\end{array} \right. $$

これは $z$ 軸上の点を中心とする水平方向に広がる円周(ロンジチュード)を表します。

$\theta$$0$$\pi/2$$\pi$$3\pi/2$$2\pi$
$z$$0$$R$$R-r$$R$$R+r$
半径$R+r$$R$$R-r$$R$$R+r$
$\theta$ を固定したときの様子

変数 $\theta$ を $0 \to 2 \pi$ と動かすと、最も外側の円周( $z=0$ )→頂上部の円周( $z=1$ )→最も内側の円周( $z=0$ )→最下部の円周( $z=-1$ )→最も外側の円周( $z=0$ )と曲面を描くことが分かります。

メリディアンループの観察

変数 $\varphi$ を固定してトーラスを観察しましょう。

$\cos \varphi = 1$, $\sin \varphi = 0$ のとき($\varphi = 0$), 次式が成り立ちます:

$$(x-R)^2 + z^2 = r^2$$

これは 垂直方向の円周(メリディアンループ)を表します。

$\varphi = 0$ ではないときは、図形を $z$ 軸を中心に $xy$ 平面を$-\varphi$ だけ回転すれば,同様に $\theta$ が描く図形は垂直方向の円周だと分かります。

つまり、$xy$ 平面の方向で偏角 $\varphi$ の場所のメリディアンループと一致します。

結論として、描かれる図形がトーラスと分かります。■

トーラスの計量

トーラスの表面積や体積の求め方を紹介します。

表面積

メリディアンループの周の長さが、半径 $R$ の円(ロンジチュード)の分だけあるので、トーラスの表面積は次の通り:

$$2 \pi r \times 2 \pi R = 4 \pi^2 rR.$$

体積

メリディアンループの円の面積が、半径$R$ の円(ロンジチュード)の分だけあるので、トーラスの体積は次の通り:

$$\pi r^2 \times 2 \pi R = 2 \pi^2 r^2 R.$$

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