数学IIで、三角関数のグラフを習います。また、微分を学ぶとエックスの3乗のグラフも描けるようになります。
この2つのグラフは、一見よく似ています。これらのグラフを並べて描いて説明している授業やサイトをあまり見かけません。この記事では、GeoGebraで、この2つのグラフを並べて書き、違うグラフであるということを伝えます。
たしかに、増減表を作成すれば、グラフが異なることの違いは分かります。しかし、実際のグラフを比較することには敵いませんので、是非ご覧ください。百聞は一見にしかずです。
そして、この記事では、なぜグラフの形が似ているのか、の考察もしています!←見せ場です!
xの3乗とタンジェントのグラフが似ているので並べた
このブログの結論です。次の画像をご覧ください。
青色の曲線が $y=x^3$ のグラフです。一方で、たくさんある赤色の曲線が $y=\tan x$ のグラフです。
さきほどよりも俯瞰したものです。タンジェントのグラフがたくさん出現しています!
$y = \tan x$ のグラフの漸近線である $x = \frac{\pi}{2}$ と $x = -\frac{\pi}{2}$ を書き入れました。これで明確な違いが分かりますね!これらの漸近線を、$y=\tan x$ はもちろん越えることはありませんが、$y=x^3$ は、お構いなく踏み越えています!
はい、似ているけれども、全然違いますね!
もし、画像がご覧になれないときは、ご自身でグラフを作成すると良いかと思います。次のリンクで、GeoGebraの紹介(使い方というよりは、リンク先の道案内)をしておりますので、良かったら是非覗いてみてください。フリーで誰でも利用できます!
このブログは、グラフの違いが分かったということの以上で終わっても良いのですが、せっかく数学を学んでいるのですから、なぜ似ているかまで踏み込んでみましょう。←ここまで考えたことありますか?
xの3乗とタンジェントのグラフが似ている考察
質問:$y = x^3$ と $y = \tan x$ のグラフは似ているように見えるのですが、なぜですか?
これらのグラフに関係はありますか?
この答えには、大学のテイラー展開という技で説明します。テイラー展開という難しそうな名前が出てきました。テイラー展開とは、どんな関数でも多項式関数で表す技術と思ってもらえれば問題はありません。
$y=x^3$ は多項式関数なので分かりやすいですが、$y= \tan x$ は、その実態がよく分からないので、多項式関数として表して(近似して)、それらの式を見比べてみます。
すると、似ている理由が判明します。それぞれの式が似ているから、グラフも似ているんだということが分かります。
$y = \tan x$ のテイラー展開は、
$\tan x$ $= x + \frac{1}{3} x^3 + \frac{2}{15} x^5$ $+ \frac{17}{315} x^{7} + \cdots$
です!計算の方法は、大学の数学の教科書を参考にしてください。この式と、$y=x^3$ を見比べましょう。
- どちらの式にも $x^3$ があります。
- どちらの式にも奇数の冪の項だけから存在します(奇関数)。
この2つの事柄が、すぐに挙げられると思います。他にも似ている箇所があれば教えてください。この2点が似ているから、グラフも似ると解釈することが可能です。
この2つが一緒であるだけで、グラフが似るのか!と私も感じますが、似てしまうみたいですね。
これ以上、もっと深く掘り下げるには、微分してみると良さそうな気がします。。。
xの3乗とタンジェントのグラフが似ていることのまとめ
このブログでは、$y=x^3$ のグラフと $y=\tan x$ のグラフを同じ座標に並べて書いてみることで、その違いを探究しました。タンジェントの漸近線を越えるか否かという大きな違いが存在しました。
また、なぜ違うかを「グラフの形」で考察するのではなく、それぞれの「式の形」を比較することで考察しました。切れ味のよい解答とはなっていないかもしれませんが、一つの解答を伝えることができました。
こういった考え方(グラフの形を式の形で比較する)を、数学のさまざまな対象に応用してもらえると視野が広がると思います。
ここまで、お読みいただきありがとうございます!