実数という言葉が高校の教科書には、よく出てくるにも関わらず、よく分からんと思われているかもしれません。よく分からない理由は、実感がないからだと思います。
この記事では「実数は目に見える数」という話題に話を絞って、書いていきます。
そのために、実数がモノの長さを測るために必要な数字であることを理解して貰えるように頑張っているブログです。
実数の概念は、高校数学の教科書の最初に説明がありますが、あまり正確に伝えられていないという印象です。この考え方を、教える側のあなたにも、教わる側のあなたにも、みんなで一緒に共有できれば幸いです。
実数とは自然数とは違う数
今回は、実数の定義や、抽象的な構成法は省いて、実数が目に見える数であることを共有することを目標とします。
なぜ実数は目に見えるのか
「なぜ実数は目に見えるか?」
がテーマです。この質問は、むしろ逆で、
「目に見える数」のことを実数と呼ぶことにした
が正しい回答となります。
ところで、次の問いを抱いてはいないでしょうか?
抱いた方は安心してください。当たり前の反応です。
ずっとクエスチョンマークが付いていると思いますが、
そもそも「目に見える数」とは何でしょうか?
目に見える数は(最も単純に言えば)2種類あります。
- モノの個数を数えるときに使う数: $1, \ 2, \ 3, \cdots$
- モノの長さを正確に測るときに必要な数 ←実数と呼ぶ。
この2種類の数の説明と、この2種類がなぜ目に見えると言えるのかを解説していきます。
自然数が目に見えるわけ
目に見える数には、モノの個数を数えるときに使う数とモノの長さを正確に測るときに必要な数があると言いました。
ひとつ目の数字のことを、自然数と呼びます。このブログでは、詳しい説明を省きますが、
自然数 = モノの個数を数えるときに使う数
と認識しておいてください。確かに、(最も単純で)自然な数ですね。英語では、Natural Number と言います。
ここで大切なことが、あなたには自然数が目に見えますか?という問いです。
以下、「例えば」の部分が、少し難しい説明となるので、難しければ、何となくの理解でも大丈夫です!
モノの個数を数えるときには、目で見て数えますので、この自然数は「目に見える数」と言えます。
例えば、箱が2つあれば、目で見て「ひとつ、ふたつ」と数えることができ、「 $2$ 」という数を得る(認識する)ことができます。( $1$や$2$という数字は目に見えますが、これは「数字」を見ているだけで、ここで伝えている「目に見える」とは少しニュアンスが異なります。)
実数が目に見えるわけ
実数の解説をしていきます。
実数とは(実数の定義)
モノの長さをメジャーやモノサシで測ることを考えてみます。この長さを表すために必要になる数のことを実数と呼ぶことにします。
英語では、Real Numberと言います。「実際の数」を縮めて実数としたのでしょうか?「現実にある数字」と言った方が分かりやすいでしょうか?
長さは目に見える(実数が目にみえる見方)
「実数が目に見える数か?」という問いを考えてみます。先ほどよりも、この答えは分かりやすいと思います。
実数はメジャーの長さのことで、長さは目で見て測りますので「実数は目に見える数」と言えます。このときのメジャーにメモリを付けたものが、実数を表す数字ということになります。
実数は自然数よりも多くの数を持つ(実数と自然数の関係)
ここで気にして欲しいことは、実数(モノの長さを測るとき)は、自然数だけでは足りない、ということです。たしかに、そうですよね。
単位をセンチメートル(cm)としますが、モノの長さは、1cmや2cm(自然数の長さ)だけではなく、1.5cmや、2.3cmなど半端な長さもありますね。モノの長さには、自然数分(自然数メモリ)の長さ、小数分(小数メモリ)の長さが必要となります。
実数は、自然数よりもたくさんの数を含んでいます。
実数のうちわけ(実数の数字の見通し、小数の分類)
ここで、昔の人(ピタゴラス)が考えた道筋を辿りましょう。
次の考えに、あなたは同感しますか?
ピタゴラスは、小数という数(モノサシの小数のメモリ)は、全て分数で表すことができると思っていました。
$1.5 = \frac{3}{2}$, $2.3 = \frac{23}{10}$ ですので、当たり前に感じますね。
この考えに、あなたも同感しますか?
あなたもご存知の通り、三平方の定理(ピタゴラスの定理, 勾股弦の定理)を考えると、ルートで表さないといけない数字が登場してしまうことが分かっています。ピタゴラス自身(?)が確かめたことですが、このルートで表される数字は、分数で表現できないことが判明してしまいました。
(ちなみに、そもそも分数とは、自然数/自然数のことを言いますので、例えば、$\sqrt{2} = \frac{\sqrt{2}}{1}$という数字は、分数の形をしているけれども本当の分数ではないと解釈してください。)
つまり、モノの長さを表すために必要な数字は、自然数と分数だけではなく、ルートを含む数字も必要になることが判明しました。実は、ルートで表現できない小数も存在すること分かっています(超越数という)。奥深いですね。
実数とは(実数の見方と考え方のまとめ)
ここまで述べたことをまとめます。
- モノの長さを測るために必要な数字を実数と呼ぶことにした。
- モノの長さは、目で見えるので、実数は目に見える数字と言える。
- 実数は自然数よりも大きな数の集まりであると言える。
- 実数は、自然数と分数とルート(累乗根)と超越数などの数のあつまりである。
正確に述べていませんでしたが、小数があれば、どんな長さも表すことができます。つまり、全ての小数が実数であると思って大丈夫です。
実数 = モノの長さを測って表すために必要な数 = 小数
と頭の中で整理しておいてください。最も大切なことは、実数は目に見えるという認識を持つことです。
実数とは何か、複素数とは何か(これから)
この記事は「なぜ実数が目に見えるか?」という問いから始まって、モノの長さを測るときに利用する数を実数と決めたから、身に見える数であると結論づけました。
計算ばかりの数学とは一線を画していると思いますが、本来の数学を伝えたつもりです。
今回の考え方は、大学数学のデデキントの切断という考え方で正確に理解できます。
この記事は、「目に見える数」である実数とは対照的な「目に見えない数」と思われている虚数(複素数)を実感してもらう連載記事の最初の一歩です。
続編の複素数の理解と合わせて非常に大きな世界が目に見えるように伝えて参ります。ココの部分に次回号以降のリンクを今後付けていきます!よろしくお願い致します。
ここまで、お読みいただき、いつもありがとうございます。
このブログの続きは、次のサイトです。