学校(中学校や高校)の数学教員(理科?)であれば、LaTeXを使えば綺麗に数式を入力できるよ〜、容易にプリントを作成できるよ〜という噂を聞かれたことがあるかもしれません。
でも難しそう〜!!と思っているあなた。MacやiPadのPagesの標準機能で、LaTeXでの数式入力が利用できます!
この記事は、LaTeXもiPad(MacでもOK)も初心者で、数学のプリントをLaTeXの数式で綺麗に作成したいという方への、PagesでのLaTeX入門講座です。
もちろん、iPadやMacのPagesユーザーで、数式を入力して資料を作成したい教員以外の方もご覧ください!
目次
LaTeXの数式入力でプリント作成とは
LaTeXとは、主に理数系の論文作成に利用されている数式を綺麗および簡潔に記載できるソフトウェアです。
この記事では「そもそもLaTeXとは~」という解説は省いて、LaTeXで実際に数式を入力してしまうことを目指します!
学校教員の数学のプリント作成について
そもそも数式入りのプリントを作成する手段は、主に5つあると思います。
- 紙に手書きでプリント作成。もしくは、タブレットに手書き入力でプリント作成。
- テキストや参考書を印刷して、その用紙を切り貼りすることでプリント作成。
- Microsoft社のWordを利用してプリント作成。もしくは、Apple社のPagesを利用してプリント作成。
- 数研出版社のStudyaidを利用してプリント作成。
- LaTeXの専用エディタを利用してプリント作成。
今回は、上から3つ目のPagesで、LaTeX数式入力を解説します。最後のLaTeXの専用エディタですが、初心者には難しいので本気でLaTeXと向き合いたい方のみ検討ください。
参考になるサイトとしては、TeX WikiのサイトのTeX入手法のページがあります。
PagesでLaTeXのプリント作成について
今回は、プリント作成に、MacやiPadに標準装備されているPagesというアプリを利用します。(Apple社版のWordと考えてもらうと分かりやすいかと思います。)
つまり、Pagesを利用したLaTeX数式入力のプリント作成についてのブログです。WordでもLaTeXは利用できるようですが、今回はPagesで解説します。
Wordと同じ感覚で、数式を綺麗に入力できる!って感じで考えてもらうと正解です!
iPadでLaTeXのプリント作成について
iPadでLaTeX数式入りのプリントを作成する手段は、いくつか存在します。
iPadでLaTeXの専用エディタを利用したいという方は、Texpadというアプリ(買い切り型)が便利ですので、オススメしておきます。
私個人のiPadで数学のプリント作成をする際のオススメの環境は、次の2つです。私はどちらも活用しています。
- 「Pages」・・・写真などを簡単に挿入でき、編集が楽なので、数式入りのプリントをパッと作成するときに利用する。また、編集をバンバンしたいプリントを作成するときに利用する。
- 「Texpad」・・・数式がメインのプリントや、本格的な数学のプリントを作成したいときに利用する。
Texpadについては、こちらの記事で簡単な紹介をしております。
PagesでLaTeX数式入力を利用する方法の解説【実践】
LaTeXでの数式入力をPagesで利用する方法を解説します。あなたは、Pagesというアプリを利用したことがありますか?
このアイコンのアプリです。iPadやMacのアプリの中から探してください。
細かい使い方はPagesの公式サイトをご覧いただくことに任せますが、基本的にWordsの利用方法と同じです。Wordsとの互換性があります。型式は崩れる可能性があります。
※Pagesのアプリを開いておいてください!
どうやってPagesにLaTeXの数式を入力するの?(入力方法)
次の手順で進めてください。画像も参考にしてください。
- Pagesの文書作成画面の上のコマンドの「+」のボタンを押す。
- 表示されたボタンの中で、最も右にあるボタン(画像が重なっているようなボタン)を押す。
- リストの中から「方程式」のボタンを押す。
以上の3ステップです。次の画像のように、数式を入力する欄がでてきます!LaTeXの入力欄が出現しました!
さっそく数式を入力してみましょう。次のように入力してみてください。
(x + 2)(x + 3) = x^2 + 5x + 6
私は、プラス記号の前後に、見易さのために半角スペースを入力していますが、入力しなくても構いません。ただ、全角スペースは入力しないでください。
いかがでしょうか?次のような綺麗な数式が「方程式プレビュー」の欄に表示されましたか?
$(x+2)(x+3) = x^2+5x+6$
「挿入」をクリックすれば、もとの文章中に、この数式が入力できます。
Pagesの文章中に綺麗な数式が入力できました!
LaTeXの数式入力のルール(基本のルール)
先ほどは、因数分解を表す多項式をLaTeXで入力しました。より複雑な数式を入力するためのコマンド命令のルールを伝えておきます。
- 数式は全て半角の英数字で入力します。
- 指数など上付きの添字は「x^2」、数列など下付きの添字は「a_n」等と入力します。( $x^2$ や $a_n$ と表記される。)
- 添字が2桁以上となるときは, 「x^{23}」のように { }で囲みます。添字だけではなく、LaTeXでカタマリを作成するときは { }で囲みます。( $x^{23}$ と表記される。)
- 特別な記号を表記したいときは「バックスラッシュ(option+¥マーク)」の後に、各コマンドを打ちます。例えば, インテグラル記号は「\int」と打ち込みます。このコマンドは決まっているので、覚えていく必要があります。( $\int$ となる。 )
- バックスラッシュを利用した数式と数式の間は、半角のスペースで間隔を空けます。例えば、$\int \cos x dx$ と入力たい場合は、次のようにしてください。
\int \cos x dx
※バックスラッシュがWebの都合上「¥(円マーク)」で表示されているかもしれません。この場合、円マークは半角の「バックスラッシュ(/の反対向きの斜め線)」(option+¥マーク)に読み替えてください。
LaTeXの命令コマンドは覚えるの?【コード表】
基本的なLaTeXの命令コマンドを紹介します。もし入力したい数式があればネット上で検索すれば、すぐに見つかりますので、入力+検索+入力+検索+・・・としていると、自然に暗記できると思います。
この記事では、これだけを知っていれば、中学と高校にある数式の多くはカバーができるっていうコードを実際の数式の表記で整理しておきます。
練習のために、ご自身で入力してみながらご覧ください。コピペで入力してもOKです。
※バックスラッシュがWebの都合上「¥(円マーク)」で表示されているかもしれません。この場合、円マークは半角の「バックスラッシュ(/の反対向きの斜め線)」(option+¥マーク)に読み替えてください。
LaTeXの数式入力実践(基本のソースコード)
① 余弦定理
a^2 = b^2 + c^2 - 2 \cdot b \cdot c \cdot \cos A
※ 積の記号「・」は不要かもしれません。
② 2倍角の公式
\sin 2 \theta = 2 \cdot \sin \theta \cdot \cos \theta
③ 分数の式
\frac{x^2+1}{\sqrt{x+1}}
④ 正弦定理
\frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} = \frac{c}{\sin C} = 2R
⑤ 微分係数の定義式
f'(a) = \lim_{h \to 0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h}
⑥ 定積分の定義公式
\int_a^b f(x) dx = [F(x)]_a^b = F(a) - F(b)
⑦ 確率の加法定理(排反のとき)
P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P( \emptyset )
⑧ 円のベクトル方程式
| \vec{p} - \vec{a}| = r
連立方程式や、行列などの記号がありますが、加筆していきます。
Point!!
なぜか数式が潰れてしまっている、見た目が良くないって感じになってしまったら、数式の前に次の魔法の呪文を入力してください。
\displaystyle
LaTeXでの記号入力実践(特殊記号のソースコード)
特殊な記号の入力方法ついても簡単に紹介しておきます。
※円マークは半角のバックスラッシュに読み替えてください。
- アルファ「 $\alpha$ 」: \alpha
- ベータ「 $\beta$ 」: \beta
- 合同記号「 $\equiv$ 」: \equiv
- 波線「 $\sim$ 」: \sim
- かける「 $\times$ 」: \times
- わる「 $\div$ 」: \div
- プラマイ「 $\pm$ 」: \pm , マイプラ「 $\mp$ 」: \mp
- 部分集合「 $\subset$ 」: \subset, 逆向き「 $\supset$ 」: \supset
- 要素として属す「 $\in$ 」: \in, 逆向き「 $\ni$ 」: \ni
ひとまず、これくらいでしょうか?
LaTeX数式入力のコツ(ちょっとしたコツ)
数式の体裁を整えるなどのちょっとしたコツを紹介します。知っているのと知らないのとでは、大きく理解が変わります!
※円マークに見えている箇所があれば、半角の「バックスラッシュ(/の反対向きの斜め線)」(option+¥マーク)に読み替えてください。
- 式と式の間に隙間を空けたいときは、バックスラッシュを入力します。具体的には、「半角スペース+バックスラッシュ+半角スペース」を入力してください。少し隙間ができます。
- 日本語を数式の中に入れたいときは, 「\textrm{入力したい日本語}」で入力してください。数式の中に日本語が入力可能です!
- 中括弧 { } は、LaTeXの命令に使われているので、直接入力できません。中括弧を出力したいときは, 「\{ \}」と入力しましょう。
上記のソースコードをまとめて書いておきます。
\{ - \ \_ \ - \textrm{(ねむくない?)} \}
$$\{ - \ \_ \ - \textrm{(ねむくない?)} \}$$
他にも、思いついたら、追記しますね。
LaTeXの数式入力の最後に(まとめ)
ソースコマンドの名前の意味は分かりやすく名付けられているので、すぐに覚えられると思います。(subsetとsupset の違いを考えてみてください。面白いですネ。)
以上の内容が分かれば、入力したい数式は、ほとんど入力できると思います。
もしも分からないもので入力したい数式や記号が生じたときには、ネットで検索して貰えば、あまりにも複雑な数式や記号でない限り、スグにヒットするので、検索しつつ入力する形が良いと思います。
PagesでのLaTeXの数式入力の入門して、基本的な利用方法を解説しました。
iPadのPagesでLaTeXの数式入力でプリント作成のまとめ
PagesでLaTeXの数式入力を利用しプリント作成をするための解説を行いました。基本的なソースコードも整理しておきましたので、必要なときに参照してください。
数学の授業でプリントを作成するためにLaTeXを利用したい方への入門記事となっていましたら、幸いです。
LaTeXでの数式入力は、慣れれば慣れるほど、使いこなせば使いこなすほど、便利さが実感できます。上手に使いこなしてください。
自作の教材を作成したい!という方には、もってこい!の手段ですので、ぜひ活用してください!
今回のLaTeXスキルとPagesの本来の機能を併用駆使してプリント作成に磨きをかけたい方は、次のサイトをご覧ください。
ここまで、お読みいただきありがとうございます。
ますだ 様
PagesでTeXが使えることを偶然発見したので、念のためネットを検索したらこのブログを見つけました。
私のiPadで作成の数式ではフォントが少し違っています。Times風の文字です。
どうしたらここのブログのようなフォントになるのでしょうか?
高須さま
ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
フォントの件は詳しくありませんが、少し調べてみたところ、Pagesではフォントは変更できないようです。
このブログ内の数式は、PagesのLaTeXで執筆していないため、フォントが異なっています。
ブログでの数式は、Web上の機能(WordPressのプラグイン)を利用しております。
なお、keynoteやnumbersでも、latexは利用できます。
参考となっていただけましたら幸いです。
よろしくお願い致します。
ますだ
xやyのフォントを教科書のフォントと同じにしたいのですが、どのようにしたらよいのでしょうか?
ますだ様
大変参考にさせていただいております。数式入力に関しては深く理解できました。高校数学の授業で使用するプリントをpagesで作成したいと考えているのですが、グラフや図形は他のアプリ等で作成し「画像」から挿入するしかないのでしょうか?
古川 様
コメントありがとうございます!
考えましたが、私の知りうる限り、数学の込み入ったグラフや図形を作成することは、他のアプリで作成する方が良いかと思います。
もちろん、pagesの「図形」や「グラフ」を利用しても良いかと思いますが、私自身は、あまり活用していません。
ちなみに、「画像」のボタンをわざわざ押さなくても、写真ファイルなどをpagesに「ドラッグ」するだけで挿入は可能です!
私は、定年退職後公立高校の数学の非常勤講師を行っています。今日このWebページを見つけてとても興奮しています。ipad上で動く数学ソフトgeogebraを見つけたときと同じ思いです。改めて数学を勉強して授業に生かしたいと思います。色々教えていただきたいと思います。
関 様
コメントありがとうございます!
お役に立てて何よりです。
更新がんばっていきます!