メルカトル図法の地図の作り方の数学をちょっと計算してみました。

地図と経度と緯度の関係

メルカトル図法で地図を作るために、地球上の経度と緯度から、地図上の点を計算する関数を導入します。

地球上の地点 $S(u, v)$ の表現

地球上で経度 $u$, 緯度 $v$ の地点を $S(u, v)$ とします。地球の半径を $1$ とした場合、この地点は次のように表せます。

$$( \cos u \cos v, \ \sin u \cos v, \ \ \sin v )$$

メルカトル射影

逆グーデルマン関数

$ -\pi/2 < x < \pi/2$ について、逆グーデルマン関数と呼ばれる関数を使います。

$$\mathrm{gd}^{-1}(x)=\mathrm{arsinh}\circ \tan(x)$$

ちなみに、$\mathrm{arsinh}(x) = \log(x + \sqrt{x^2+1})$ です。

メルカトル射影

地球上の経度 $u$, 緯度 $v$ の地点 $\mathsf{S}(u,v)$ を、地図上で次の位置 $(X,Y)$ にプロットしたものがメルカトル図法です。

$$(X,Y)= (u, \mathrm{gd}^{-1}(v))$$

地図作りの例を計算してみよう

地球上の東経 $60^{\circ}$(弧度法 $\pi/3$), 北緯 $45^{\circ}$(弧度法 $\pi/34$ ) の地点(アラル海)は、メルカトル図法の地図でどこにプロットされるのか計算してみましょう。

アラル海(iPad の「マップ」アプリで作成)

上で述べたとおり、アラル海は地図上の

$$\displaystyle (X,Y) = \left( \frac{\pi}{3}, \ \log(\tan(45^{\circ}) + \sqrt{\tan^2(45^{\circ}) + 1}) \right) = \left( \frac{\pi}{3}, \ \log(1 + \sqrt{2} ) \right)$$

に対応します。実際に計算しましょう。

$$\frac{\pi}{3} = 1.0471 \cdots$$

$$\log(1 + \sqrt{2} ) = 0.0881 \cdots$$

よって、地図上の $(1.047, 0.088)$ の位置にプロットすればOKです。

ちなみに、例えば、地図上で $(X, Y)$ を経度と緯度をそのままにして並べた位置は $(\pi/3, \ \pi/4) \fallingdotseq (1.047, 0.785)$ ですが、メルカトル図法の地図とは異なります。

縦方向の縮尺が異なっているイメージの図を掲載しておきます。

今回紹介した風に地図を作ると、地球上で進行方向を北極方向を基準に測った角度と、地図上で進行方向を経線を基準に測った角度が対応します!

本当に角度が等しくなるのかは、大学の計算が必要なので、ここでは割愛します。

参考文献は次の通りです。

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