あなたは、毎回の授業で生徒に小テストをさせてますか?
今回の内容は、小テストというよりは計算トレーニングですが、自分で考えた手法を紹介します。
無駄な作業を削減し、生徒と接する時間を確保することを実現できたので、お伝えします。
目次
毎回の授業で確認テストについて
毎回の授業で確認テストや計算トレーニングはされていますか?
動機について
そもそもの話をしておきます。
私の働く学校の数学科で、次のような方針が、ある時に(一時期)採用されました。
毎回の授業のスタート時に、
5分間以内の小テストを
実施していきましょう。
ここで、小テストと表記しましたが、実際は、計算トレーニングという意味合いです。
5点〜10点が満点の小テストということです。
小テストの内容は、前の学年や中学校、小学校の計算のときもありましたし、
授業で行っている内容・単元の基礎計算のときもありました。
目的について
小テスト(計算トレーニング)を毎回することの目的は次のように考えています。
- 授業開始時に計算に集中する習慣を付けることで、授業開始時に自発的に落ち着いて向き合うことをさせる。(授業の良いスタートができる。)
- 基礎内容の習熟をさせ、計算のスキルを上げさせる。(基礎の計算を習熟させる。)
この目的と手法は、理に敵っていると思いました。
この目的のもと、
毎回の授業の開始時に計算トレーニングとして小テストを実施する
と決定しました。
この文言を聞いて、皆さんはどのように思われますか?
非常に有意義と私は思っていました。(初めは。)
ただ、実際にやってみて分かることは、非常に大変でしかない、ということです。
有意義な指導であると感じる反面、この指導を持続させるためには相当な労力が必要ということがスグに分かりました。
持続可能な毎回の小テスト実施
を実現しなければなりません。ただただ、手段を改良しないと、やってられない、ということだけが課題になりました。
毎回の授業での小テストの苦労話
毎回の授業で、小テストを実施するということは、
- 小テストを毎回作る。
- 小テストを毎回印刷する。
- 小テストの採点、チェックをする。
- 小テストの点数を毎回、教務手帳(等)に記入する。
- 小テストを毎回返却する。
- 小テストの解答や、やり直しを伝える。
ということをやらねばなりません。
おそらく最も大変なことは、数十人の解答の採点です。
採点については、計算トレーニング(小テスト)後に、解答を提示し、生徒に丸つけさせると良いと思います。(本当の小テストだと駄目ですが。)
また、毎回B5の用紙に印刷していたのですが、明らかに、
- 紙の無駄使い
でした。
さらに、計算をした用紙を生徒に返却した際に、保管しておいてほしかったのですが(どれだけ進歩したかを実感してもらう為)、次のように苦労します。
- ゴミ箱(古紙回収ボックス)へ大量の小テスト
- 教員が保管するにしても、多すぎて処理不可能に。。。
生徒にストックするように伝えても、単なる計算問題なので、あまり意欲は沸かないようでした。
ちなみにですが、以上のことにより、私は、仕事において最も良くない働き方(作業)というものを知りました:
毎日発生して、毎日処理しないといけない作業をわざわざ創り出す
ことです。この処理に毎回時間を取られていると、生徒と接する時間も取れません。教材研究する時間も失くなります。これでは本末転倒です。
苦労に苦労を重ねる経験をしましたが、毎度の授業で、小テスト(計算トレーニング)を実施するのは有意義な指導と信じていましたので、そのために考えに考えを重ね、邁進し、簡易かつ有効な方法を開発しました。
上の全ての問題を顕著に改善することができました。
毎回の授業での小テスト実施の試行錯誤
いろいろな試行錯誤をしました。
聞いてあげたってください。
そもそもは、こんな感じで小テストを作成して、毎回配布していました。
スタンダードな形式だと思います。
容易に想像が着くかと思いますが、、
毎回の授業のために、この小テストを作成することは苦労でしかありません。
たしかに、内容自体は簡単で結構なので、すぐに作れますが、毎回毎回の授業のために作成することは煩雑な作業でしかありません。
工夫初期の段階
最も初期は、授業の前日に小テストを作成していました。
もちろん余裕のある日は、いくらか、まとめて作成するということをしていました。
しかし、毎回の授業の前日・直前に、毎回作成の時間に奪われるということは、非効率極まりない作業だと実感しました。
そこで、一週間分のテストをすべて作っておくという工夫をしました。
毎週のある曜日に小テストを作成する時間と決めて、まとめて作成しておきました。まとめて、印刷しておきました。
しかし、せっかく作成した小テストも用が終われば、すぐにゴミ箱(古紙回収ボックス)へ、というのも寂しいものです。
工夫中期の段階
小テストを捨てさせない工夫を考えました。
小テストの裏を利用しました。小テストの裏に、毎回、数学の豆知識や、その日の授業のポイントや、クイズなどを書きました。
なんで、このような考えに至ったかと申しますと、
- 小テストの裏面が空いてる
- 授業開始時に配布する
という特徴を踏まえたからです。
これでも破棄する生徒はいますが、保管してくれるようになりました。
また、こちらも保管するように、という指示がしやすくなりました。
もちろん、毎回作成する必要はありますが、授業の準備も兼ねて、有意義なことを資料にまとめるという作業は、楽しかったです。非常に頑張りました。
今は、毎回情報をまとめた資料を作成している時間は無いので、行ってはいませんが、若いときに、毎回の授業の内容などをまとめるということをしていたので、次のようなことを得ることができました。
- 数学が得意な一部の生徒が授業中のお手すきのときに行う課題を指示することや、数学が苦手な生徒へ前提事項やフォロー事項を整理しておくという技術は、紙面一枚あればできた。
- 教科書に記載されていないプラスの話題を私自身が増やすことができた。
- 私自身が授業のために考えた工夫について、容易に保存することができた。(小テストの裏面に工夫したことが分かるように内容を書いておけば、この小テストを1部保管すれば自分のオリジナルの保存となる。)
作成には時間が掛かるので、今は行っていませんが、2年間ほど作成し続けてましたので、今も使える資料やネタが蓄積できました。
例えば、下の画像のような資料を、小テストの裏面に表記していました。
次の工夫の話に進みます。
小テストの配布方法に工夫をしました。
教室の外にある棚に、まとめて置いておき、数学係を決めて、授業前に配布させる。この方法は、生徒が自発的に授業の良いスタートをきることができることと合致しています。
幸運なことに、数学係は、クラスの中で真面目に仕事をしてくれる生徒を採用して貰えるという配慮が学校で為されました。有り難いことでした。
しかし、問題が生じました。
あるクラスでは、毎回の授業が始まる以前に小テストを配布してくれるようになりました。
勉強に意欲がある生徒は、授業が始まる以前に小テストを行い、開始以前に解き終えるという事態になりました。
また、せっかく頑張って作った裏面の資料も授業の前に読み終えてしまい、授業時間内で有効に活用しにくくなるという問題も生じてしまいました。
これはこれで良い悲鳴なのですが、授業が始まって、上に該当する生徒は、小テストを本来取り組む時間、暇で仕方なく、やる気が削がれてしまうことになってしまいました。
これでは、クラスもしくは授業に参加しているの全員の足並みが揃いません。授業をスムーズに受けるという本来の目的とかけ離れてしまいました。
工夫末期の段階
裏面に資料・情報を書くことも、手に負えなくなってきました。
今までに記載してきたことと矛盾する側面もありますが、
毎回まとめて小テストを作成しておくのならば、
一枚の用紙(B4)に複数回まとめて記載しておけばいいのではないか、
と考えました。
この考えに至ったときは大きな進展を感じました。
このときの小テストの資料は、次の画像のような感じです!
毎回の授業の開始時に数学係の生徒に配布させ、
小テスト(計算トレーニング)が終了すれば回収する
という手順で、実施しました。
この形式にすることで、どのようなメリットがあったのか、皆さんは共有していただけるでしょうか?
- 紙の無駄遣い問題を解決(B4用紙1枚で複数回OK)
- 印刷の手間など、作業労力を大きく削除
他にもメリットはあります。
合計点を書くスペースを設置しました。
毎回の小テストの点数を控える必要がなくなりました。この合計点を、この用紙の問題を全て終えたときに、生徒に書かせる指示を行います。その点数のみを私は転記すればOKということに至りました。
もちろん、初めの作業と比べて、作業効率は大きく向上しているので、小テストをチェックする時間は確保できます。(毎回の点数を転記する時間も不要なので。)
そこで、「生徒が書いた感想」へのコメントを書くことをしました。
もちろん、コメントを書きつつ、小テストの結果を確認し、生徒の状況を把握することをしていました。
さらに、なんと!!、思わぬ副効果もありました。
このプリントは、
「試験直前期のまとめプリント」
としても利用することができると思いつきました。
この小テストの用紙と同一のプリントを新規で印刷し配布します。
もちろんですが、小テストの内容を「いま行っている授業の内容の基礎練習」としている場合は、授業内容(の基礎)を網羅するプリントとなります。
この考えには、おそらく思われているよりも、深い理由(意見)があります:
「試験のためのまとめプリント」は、あまり配布することが推奨されない場合もあるかと思います。
なぜかというと、そのプリントだけやっていれば試験で点数が取れると思われると、毎回の授業を聞かなくなる可能性があるから、です。
しかし、このプリントは、一度自分で行った計算が羅列されているプリントとなります。一度自分で行った計算を復習確認するという意味で配布することができます。
もちろん、試験対策のために配布するのですが、一度やった計算を復習するという意味で生徒は捉えるので、授業を聞かなくていいや、という思想には結びつきません。なのに、試験前に言われる「先生、まとめプリント(試験対策プリント)ちょうだい」という声が失くなります。(good!!)
このプリントを試験直前に配布するメリットとしては、
- 一度自分で行った計算だから、もう一度行うのには最適である
という点が挙げられると思います。
一度で2度おいしい教材が出来ました。👏👏
しかし、次のような問題も含みました。
- 先の回の問題まで解き進める生徒がいる。
- 試験直前期に配布することを見越して、授業内容(授業進度)を踏まえて4回分(裏面も合わせて8回分)の内容を書いておくことは、厳しい。(小テストの内容と比べて授業の進度が遅れることは許されない。)
一つ目の問題は心配入りませんでした。先々にやってしまうことも、先の問題をどこかに控えておくことも、先の問題を覚えておくことも、そういったことを行う生徒はいませんでした。
二つ目の問題が困難でした。
これらのことを全て解決する方法を、最後にご紹介します。
毎回の授業での小テストの私の方法
改善策は、いたってシンプルです。
問題はスライドで作成・投影し、
解答用紙は複数回分を一覧にした用紙を配布する
ということを実施しました。
現物を見てください。
まず、問題の雰囲気です。(スライドで数回分あります。)
そして、解答用紙です。さっきの解答用紙から、問題の部分を削除しただけです。
どれだけのメリットが得られたでしょうか?
もちろん、数回分の小テストを作成しなければならない手間はありますが、印刷、紙の無駄遣い、保管の手間など全て省けました。
授業開始以前に、生徒は、今回の問題も、先々の回の問題を解くこともできません。
さらに、問題は配布していない状態なので、次回に行う問題の差し替えも容易です(スライドのページを変更したり、必要に応じて新しい問題ページを挿入すればよい)。
試験直前期には、問題スライドを複数枚を1ページにして、一枚の用紙で印刷します。私は、その問題用紙と、この解答用紙をホッキチスで留め、生徒に返却しています。
すると、生徒の努力や成長の過程が詰まったポートフォリオの出来上がりです。生徒は喜びます。(ホッキチスで留めるという一手間が生徒に良い印象を与えます。)
新規の解答用紙を一枚添えて、ホッキキスで留めておけば、先ほど述べた通り、よい練習プリントとなります。
模範解答は、わざわざ添付する必要はありませんね。。
(授業に参加していれば模範解答は出来上がっています!)
毎回の授業で小テストを実施するには、この形式が最良であると思うことができました。(苦労の末に至った考えです。)
よりよい指導のために
さて、ここからは、この形式で毎回の授業で小テストを行うときのコツや、ちょっとした技・工夫をご紹介いたします。
実施についてのコツ
- 丸つけを、隣近所の生徒と解答用紙を交換させて、行わせる。
これは効果的だと思います。他人の解答用紙だから、真面目に丸付けするし、解答を転記します。また、隣近所と(小テストの計算問題に関して)コミュニケーションが生まれることも良いことだと思います。
- 生徒の感想に対して教員がコメントする。
コメントは教員に余裕があれば、となりますが、是非してあげてください。
毎回一言程度で構いません。
計算が苦手な生徒には応援や励まし・アドバイスを行い、できるようになったら褒める、ということが容易に実現します。
計算が得意な生徒とは、Perfect!!などと言ったコメントで、出来たことに対して、いつも素晴らしい、というメッセージを送ることができます。
そのために感想欄を設けました。
また、生徒は、解答用紙の余白にイラストなどをするかと思います。
そのイラストやコメントを拾って、イラスト返しやコメントをしてあげると、たいへん有意義なコミュニケーションを実現することができます。
生徒は、毎回、小テストの解答用紙を返却して貰えることを(少なからず)楽しみにしてくれると思います。
- 座席の列ごとにまとめて集めさせ、列ごとに折り畳ませる。
完全な小技ですが、毎回同じ解答用紙を配布するので、列ごとにまとめておければ、配布が非常に楽です。今回の解答用紙はB4サイズですので、列ごとに集めさせ、一緒に折り畳んでB5サイズにして貰い、その束を各列で重ねれば、こちらの管理も配布も非常に楽となります。
席替えのときだけ困りますが、列ごとに折り畳んで貰うと小テストを始めるリズムが、とても良くなります。
さらなる技
- 同じ小テストを2回ずつ繰り返す。
この方法も効果的です。同じ小テストを2回ずつ繰り返す方法を述べます。
この解答用紙を2セット容易しておきます。それぞれにNo.1(1回目)とNo.2(2回目)などと表記しておきます。
ある日の授業では、No.1の用紙にスライドで問題を投影し回答させます。
その次の授業では、No.2の用紙に前回と同じ問題を投影し回答させます。
No.1のときは、小テストで計算するときに、やり方が分からなければ、ノートを見ても良いことにしておきます。そして、小テスト実施後の答え合わせの際には、解説を丁寧に行います。
No.2のときには、何も見ないで解答する約束をします。前回の授業で復習した計算方法を思い出しながら、問題を解いて貰います。時間短縮のために、この際の小テスト実施後は、答え合わせのみ行います。解説はNo.1のときに行ったので省略することにします。
このようにする訳は、問題自体は基礎の基礎で簡単だとしても、授業で新しく習ったばかりの内容が生徒の頭に残っていない時の計算練習を有効にできるからです。
この方法を実行すると、新しい内容でも定着のための有効な方法となります。実際、この方法を実行したとき、生徒からは
「同じ小テストを2回できるから、
1回目に分からなかっても、
2回目にできるようになる(から嬉しい)。」
という声を聞くことができます。しかも、
小テストの問題の作成回数を半減できる
のです。
この方法を実行すると、先ほど述べた、試験直前期にまとめプリントとして配布することと併用すると、
一度で3回おいしい教材を実現できた
こととなります。やったー!👏👏👏
毎回の授業で確認テスト/計算トレーニング(まとめ)
いろいろな話をしましたが、すなわち、無駄な作業の削減をし、生徒と接する時間、生徒の状況を把握する時間を適切に儲けることが実現した、ということです。
私は、独りでしか、この小テスト形式を遂行していませんが、他の先生と共同で小テスト(計算トレーニング)を行うのであれば、効果抜群な方法ではないでしょうか。
今回のブログでは、私の苦労話をたくさん聴いてもらいました。
先生ご自身で駆使することができることが最も大切なことだと思いますので、この解答用紙の形式に至った経緯をお伝えしました。
是非ご利用ください。
1回作成すれば、ずっと、皆で一緒に使えます!