授業で生徒各自に計算練習をさせたくて、プリントで演習をさせると思います

自作のプリントで演習させれば指導効果が高いことは言うまでもありませんが、市販の教材の問題集のページを印刷して生徒に演習させたいことが多いですよね。

市販のプリントだけでは、生徒が、なかなか、毎回集中して取り組んでくれないことが悩みの種でありませんか。

このようなときに、市販の教材の問題集の印刷プリントでの演習に、一手間を加えるだけで1時間の演習の時間を、効果的に設計できる方法を編み出しました

演習の授業を実現させたいけど、生徒の自習に任せているだけでは、全然取り組まない生徒もいるし、教え合いをしているのか喋っているだけなのかの生徒も出てきてしまうし、うるさくなってしまうとお悩みの方に朗報です!

この授業方法は、授業の前半に自作のミニプリントで学び合いをさせます。(なんと、全生徒が達成感を得て、全生徒と教員がコミュニケーションを取ることができる、ことも実現できます。)授業の後半に市販の教材の印刷プリントで演習をさせます。

今回は、この方法を共有します。是非、授業で実践してみてください。

私も、やってみよっかな、授業に取り入れてみよっかな、って思える内容です!自信あります。

このプリント演習中心授業のメリットとデメリット

この記事で紹介する授業方法のメリットとデメリットを挙げてみます

このプリント演習中心授業のメリット

メリットです。演習をさせて、計算や解法を習得させる目標は達成しやすいです。

  • 教えたいポイントについて、クラスの全生徒が分かることを達成することができる。
  • 計算練習のプリントに集中して取り組ませることができる。
  • 分からないまま計算の練習を何度も行うのではなく、分かった上で計算の習得を目指し、計算ができるための練習を実現することができる。
  • 一人一人の生徒が達成感を得ることができる。教員は一人一人の生徒とコミュニュケーションを取ることができる。

このプリント演習中心授業のデメリット

デメリットを考えました。問題の分量と難易度のバランスを上手に設定する必要があります。

  • 一回の授業で伝えられるポイントが限られる
  • 問題の量や難易度の設定が少し難しい
  • 基礎問題以外の問題の演習には不向きかもしれない。
  • 前半の学び合いのときに、騒がしくなってしまう可能性がある。

メリットもデメリットも勿論ありますが、必要に応じてアレンジして、あなたの授業に取り込んでいただけると嬉しいです。

プリント演習授業の方法の公開

前半と後半で与えるプリントのレベルは同じなのですが、プリントの勉強の仕方を区別させます。この方法を解説いたします。

前半に与えるプリントの設定は、学び合い(教えあい)を含めてクラス全員が15(〜20)分以内に完了できる分量とレベルにします。具体的には、数学が得意な生徒は、3分以内(長くても5分以内)に完了できる分量とレベルにしておきます。。

いろいろな種類の計算の解法が含まれるプリントも相応しくありません。(生徒が教え合うときに、時間が掛かってしまいます。)多くとも3種類の解法が混ざっているもので抑えてください。

実際には、違う解法が3種類も含まれていると分量が多いという印象です。(数学が苦手な学校ですが、例えば、2次方程式の解を求めるときに、(1)通常の因数分解を使う計算, (2)たすきがけを利用する計算, (3)解の公式を使う計算, の3つで精一杯です。)

もちろん、数学が得意な学校であれば、話は別ですが、できるだけ、習得させたい項目、習得させたい解法を明確に絞って、プリントを用意されることが大切だと思います。

後半に与えるプリントは、基本的に何でも構いません。前半のプリントの内容が分かっていれば、ほとんどの問題を解くことができるようなプリントが良いと思います。

もちろん、所々に考える必要がある問題が混じっていても問題がありません。

市販の教材の問題集のページを印刷したものを利用されると良いと思います。もちろん自作のプリントでも効果的ですが、市販の教材を活用し時短を目指すという意味があります。また、1時間の授業中に完了しないくらいの分量でも問題がないと思います。

結局、前半部で各自が分かった解法を発揮できる環境を提供できるプリントを与えてあげればよいです。

プリント演習授業の工夫とコツ(前半部)

学び合いの順番と工夫

前半部の授業での流れは、次の通りです:

  1. 今回のプリント演習の目的は〇〇の計算の解法が分かること、と生徒と目的を共有します。
  2. 前半部のプリント演習では、「クラス全員が分かること」という目標を共有します。
  3. ミニプリント(前半のプリント)を配布し、制限時間を提示します。(私は、残り時間が分かりやすいように、プロジェクターでタイマーの時間を映し出しています。)
  4. 生徒の声を気にしつつ、板書に問題のヒント(生徒同士が教えるときに参照できるような内容)を書いたり、特に苦手な生徒のフォローをしたりします。
  5. プリントが完了した生徒は、黒板の前まで来て張り出されている解答(黒板の隅にプリントの解答を小さく張っておきます)で答え合わせをする。
  6. 全問正解していれば、教員の所へ行き、チェックを貰う。間違い部分があれば、自席でやり直しを行い、完了すれば、教員のチェックをもらう。
  7. プリントが完了した生徒は、数学が苦手な生徒や、解法を理解していない生徒へ教える立場となり、学び合いを実現する

おおまかな授業の流れは以上の通りです。では、前半部の詳しい説明を致します。

学び合いの時間のコツ

前半のプリント演習のコツとアドバイスをまとめます。

私の自作の前半部のミニプリントを紹介します!

前半部のミニプリント

問題は数問しかなく、ポイントを絞ったプリントと理解して頂けると幸いです。

他に作成したプリントも参考までに掲載しておきます。こちらをクリックしてください。1ページに2枚掲載しておくことで、印刷も楽ですね。

前半のプリント演習は、「クラスにいる全員が分かること」を目標としてください。まず、この目標を黒板やホワイトボードにしっかりと書いておき、クラス全員と共有しておくことが大切です。

目標を共有していなければ、得意な生徒は教える立場にならずに自分の勉強ばかりしてしまう、苦手な生徒は自分なりに頑張ろうという努力をしない、結末になってしまいます。必ず目標は共有しましょう。

教室の前の黒板(後ろでも構いません)にミニプリントの模範解答を貼っておきます。プリントが完了した生徒は、解答の前に来て、自分で丸付けを行い、間違っている問題があれば、自席でやり直しを行います。

やり直しも含めて、全部完了した生徒は、私(教員)の所に来るように伝えています。そして、私(教員)は、プリントを見てコメントをします。

計算に問題がなければ、しっかりと褒めます。正解しているけれども途中式などで気になる箇所があれば、問答をして確認します。そして、その生徒のプリントの内容がOKだと判断すれば、大きく花丸をするか達成シール(100均で売っている)を貼るか、達成ハンコを押します。こうすることで、このプリントの内容は達成したという印象を大きく与えることができます。

ミニプリントを達成した生徒は、数学が苦手な生徒とコンタクトを取り、必要に応じて内容を教えることをします。

生徒同士が教え合うと、苦手な生徒は、どうしても、言いなりになってしまう傾向があります。しかし、今回の方法は、後半のプリントで計算の演習を再度行いますので、この前半部では、ある程度言いなり、鵜呑みになっても問題はありません。

達成した生徒が過半数を超えたり、教える相手が居なくなった生徒については、自習をしておいても良いと伝えています。多くの生徒は、傍用問題集のワークに取り組むことが多いです。

この学び合い(教え合い)のときに、多少騒がしくなることもあるでしょう。制限時間を設けていることが利きます。

状況を判断する必要がありますが、多少騒がしくなっても大目に見てあげてもよいと思います。(きちんと勉強していれば。)今回は、学び合いの時間を最大15〜20分と設定していますので、さわがしくなったとしても5〜10分ほどで区切りをつけることができるので安心してください

全員が教員の所へ来て、達成のチェックができたことの確認ができれば、そこで前半部はお終いです。残念ながら、全員が達成できなければ、少しだけ延長するか、前半部を終了するかのどちらかを選択します。

全員が達成できなければ、ミニプリントの分量が少し多かったか、難易度が高過ぎたかと(私は)反省します。

時間が過ぎても、多くの生徒が真剣に教えている光景が見えるときは、問答無用で、制限時間を延ばします。

これで前半部は完了です。授業時間が50分であれば、初めの説明も含めて、ちょうど半分くらいの時間が経過していると思います。

プリント演習授業の工夫とコツ(後半部)

自習の順番の工夫

後半部の授業プリントは、基本的に市販の問題集のコピーを配布しています。したがって、ここに掲載することはできませんが、基礎問題が羅列されている問題集のページを想像してください。

後半の授業の流れは、次の通りです。

  1. 授業の後半は自習で勉強する時間であると伝える。相談なしで問題を解くようにと共有する。
  2. 前半部のミニプリントのレベルの問題に付随した問題プリントを配布する。
  3. このプリントには、解答も付けておくと良い。

後半部は教員は楽です(笑)。私は、基本的に、相談なしでプリント演習に取り組ませます。

自習の時間のコツ

基本的に、何も見ずに問題に取り組ませますが、どうしても分からなければ、前半のプリントを確認することは許可します。

この時間の意図としては、自習をさせること、一度分かった解法を習得するための計算演習をさせることです。

単なるプリントの演習だけであると、どうしても、分からないまま解いてしまう、何かを見ながら解いてしまう、周りと相談しながら解いて自分一人で解くことをしない、という状況が想定されます。

しかし、前半部で解法が分かっているので、この心配はなくなり、生徒が意欲的にプリントに取り組む姿が見受けられます。

また、このプリントには、解答をつけておいてあげると良いのかなと感じています。解法の手立て付きの解説は、お任せしますが、少なくとも「答え」だけは伝えてあげておくと、自分の計算が合っているかどうかを各自が判断できるので勉強が捗ると思います。

私の場合は、B5のサイズの問題プリントを3枚、答えをB5の1枚にまとめ、この4枚をB4サイズの両面で印刷し、生徒に配布する形を取っています。答えを一つのプリントにまとめておくことで、教員側の管理も楽ですし、次回の授業で答えを持っていかないといけないという(記憶の)煩わしさからも免れることができます。

後半の時間は、見守ってあげてください。生徒同士の相談は無しにしています。質問がある生徒は挙手をさせ、こちらから出向くか、前に来るように設定しています。

プリント演習が中心の授業が有効なタイミング

今回紹介した方法は、どの授業のときに実践すると良いのでしょうか。

この授業が最も効果的なタイミングは、教科書の基礎内容を教えて、その内容をしっかりと練習させたいときです。教科書で一つのことを伝え、その内容を定着させるための演習をさせるための手段としては非常に大きな効果を得ることができます。

また、生徒も比較的楽しんで取り組みます。「プリントの時間ないのー」という声も貰うことができました。3回の授業(例えば、1週間の授業)で「教科書を教える授業の時間→教科書を教える授業の時間→プリント演習の時間」くらいのルーティンにしてあげると、授業としては非常にメリハリがつくと思います。

ずっと、教員の話を聞いているだけの授業からは少なくとも脱却できます。

この授業は、試験前の復習の時間に、ポイントを絞っての演習会としても実現できます。試験前に復習の時間を設定することがあると思います。自習だけだと、寝てしまう生徒、相談して騒がしくなる生徒などが出現してしまいます。

しかし、今回の形の演習を取り込んであげると、積極的に取り組みます。また、試験前なので、前半部で教える生徒がいなくなった生徒は、自動的に試験勉強を勝手にしてくれるので、騒がしくなることもありません。

最後までお読みいただきありがとうございます。私にとって、この手法を使うと、単なるプリント演習の時間を有効かつ楽しくすることに実現できましたので、あなたの授業で活用していただけると幸いです。

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