
数学の3大作図問題と呼ばれた古代からある作図問題をご存知でしょうか?
作図問題とは(数学の図形の3大難問)
作図問題とは、「定規」と「コンパス」のみを用いて、指定の図が描けるかという問題です。
「定規」とは、メモリを測ることのできる「ものさし」とは違い、真っ直ぐな直線を引くための器具です。
「コンパス」は円を描くための、あのコンパスです。
数千年も前の古代ギリシャの時代から、作図に関する3大問題がありました。
「角の3等分問題」について
1つ目の作図問題です。
角の3等分問題とは
角の3等分問題とは、『どんな角でも3等分線を作図できるか』という問題です。
「どんな角でも」という部分がポイントです。例えば、90度の三等分線はすぐに作図できます。
また、「定規とコンパス以外の道具」を用いたり、「折ること」を許せば、どんな角の三等分も構成できます。
ただ、「どんな角でも」であっても「定規とコンパスのみ」で作図できるか、が問題です。
角の3等分問題の解決
角の3等分問題を証明した人物は、なんと1837年のフランスのピエール・ヴァンチェルです。
どんな角でも作図で3等分できるわけではないと、否定的に解決されました。
作図で、三等分が不可能な角度があるということです。
1837年の証明なので、古代ギリシャから、かなりの時間が経ってからということになります。数学IIを習うと、証明を一応理解することができます。
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どんな角でも3等分線を作図できますか?
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不可能です!
「円積問題」について
2つ目の作図問題です。
円積問題とは
円積問題とは、『円と、同じ面積の正方形を作図で描けるか』という問題です。
半径 $r$ の円の面積(円積)は $\pi r^2$ です。
面積が $\pi r^2$ の正方形が作図(コンパスと定規だけ)で描けるのかという問題です。
円積問題の解決
円積問題を解決した人は、1882年のドイツのフェルディナント・フォン・リンデマンです。
「こんな正方形は作図では描けない」という否定的な結果が証明されました。
こちらの問題も解決(不可能だという答え)されるまで、2000 年以上経過しました。
証明の方針は、面積の式 $\pi r^2$ の中の円周率 $\pi$ に着目することにありました。$\pi$ は「超越数」という性質を持ちます。超越数とは、方程式の解として得られない数という意味です。この証明の正確な理解には、大学の数学が必要です。
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円と、同じ面積の正方形を作図で描けますか?
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不可能です!
「立方体の倍積問題」について
3つ目の作図問題です。
立方体の倍積問題とは
立方体の倍積問題とは、『立方体の体積を2倍にした立方体を作図できるか』という問題です。
立方体倍積問題とは、ギリシャの「デロス島の問題」からできた問題です。
デロス島の神様が「立方体の形をした祭壇の大きさ(体積)を2倍にせよ」と告げました。
このような立方体を作図で作ることができるか、という問題が議論され続けました。
1辺の長さが $1$ の立方体の体積は $1$ です。体積を2倍にすると $2$ になります。体積 $2$ を持つ立方体の1辺の長さは立方根を使って $\sqrt[3]{2}$ です。
できそうではありますが、この問題も他の問題と同様に2000年近く未解決問題として残っていました。
立方体の倍積問題の解決
立方体の倍積問題を解決した人も、フランスのヴァンチェルです。
「こんな立方体は作図できない」という否定的な結果が証明されました。
証明の核は、$\sqrt[3]{2}$(2の3乗根)が作図では書けないことを示すことでした。これをヴァンチェルは示しました。
こちらの問題も解決(不可能だという答え)されるまで、2000 年以上経過しました。
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体積を2倍にした立方体は、作図で描けますか?
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不可能です!
ヴァンチェルさん、未解決問題を2つも解決して、とても凄い数学者ですネ。