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「信頼区間」とは

推定したい統計量が入っていると信頼できる区間のこと。

仮定

母集団が正規分布に従うとする. 母平均 $m$, 母標準偏差 $\sigma$ とする. 実際の標本の値を $x_1$, $\ldots$, $x_n$ とし, 標本平均を $\bar{x}$, 標本標準偏差を $s$ $=$ $\sqrt{\frac{1}{n} \sum_{k=1}^n(x_k- \bar{x})^2}$ とする. $n$ は大きいとする.

現象

確率変数 $Z$ が標準正規分布に従うとき, $P(|Z| \leqq 1.96) \fallingdotseq 0.95$, $P(|Z|\leqq 2.58) \fallingdotseq 0.99$ である. 以下, $u$ $=$ $1.96$ か $2.58$ とする.

A. 母平均の信頼区間

  1. 母標準偏差が分かる場合:$\displaystyle \left[ \bar{x}- u\cdot \frac{\sigma}{\sqrt{n}}, \ \ \bar{x}+ u \cdot \frac{\sigma}{\sqrt{n}} \right]$
  2. 母標準偏差が分からない場合:$\displaystyle \left[ \bar{x}- u \cdot \frac{s}{\sqrt{n}}, \ \ \bar{x}+ u \cdot \frac{s}{\sqrt{n}} \right]$

B. その他の統計量の推定

  1. 母比率の推定 (標本比率 $R$ ):$\left[ R- u \sqrt{\frac{R(1-R)}{n}}, \ R+ u \sqrt{\frac{R(1-R)}{n}} \right]$
  2. 母分散の推定:$\displaystyle \left[ \frac{ns^2}{\chi_{n-1}(\alpha/2)}, \ \frac{ns^2}{\chi_{n-1}(1-\alpha/2)} \right]$

ポイント解説

「信頼できる」とは, $95 \%$ もしくは $99 \%$ 以上の確率で起こること, と定義します。

A

(1) $P(|Z| \leqq u) = \alpha$ だったとします。中心極限定理から $\frac{\bar{X} - m}{\sigma / \sqrt{n}}$ は $N(0,1^2)$ に従うので,

$$\begin{array}{l}
P(| \frac{\bar{X} - m}{\sigma / \sqrt{n}}| \leqq u) \fallingdotseq \alpha \\
\Rightarrow P(|\bar{X} -m| \leqq u \frac{\sigma}{\sqrt{n}}) \fallingdotseq \alpha
\end{array}$$

この式は次の信頼度が $\alpha$ を意味します。

$$|\bar{X} -m| \leqq u \frac{\sigma}{\sqrt{n}}$$

標本の平均を実際の値 $\bar{x}$ に置き換え, 変形すると公式が得られます:

$$\bar{x} - u \frac{\sigma}{\sqrt{n}} \leqq m \leqq \bar{x} + u \frac{\sigma}{\sqrt{n}}$$

(2) $n$ が小さければ $t$ 分布で推定します。

台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲は予報円と呼ばれます。

B

(1)A.(2)の特別な場合です。(2) $\chi_{n-1}(\alpha/2)$ は, 自由度 $n-1$ のカイ2乗分布の上側確率です。

信頼区間の例

台風の予報円

予報の信頼度に関しては、台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲を「予報円」として表現しています。

また、台風の中心が予報円内に進んだ場合に風速25m/s以上の暴風となるおそれのある範囲を「暴風警戒域」として示しています。

気象庁, 台風進路予報の改善について, 令和元年6月12日

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