ベジェ曲線が描かれる仕組み(アルゴリズム)を紹介します。

ベジェ曲線の数式

ベジェ曲線の定義

定義

平面内の点 $\mathbf{P}_0$, $\mathbf{P}_1$, $\ldots$ , $\mathbf{P}_n$ と $0 \leqq t \leqq 1$ について,次の式で表される曲線を $n$次ベジェ曲線という。

$$\displaystyle \mathbf{P}(t) = \sum_{k=0}^{n} {}_n \mathrm{C}_k (1-t)^{n-k}t^k \mathbf{P}_k$$

3次ベジェ曲線で説明をします。4点 $\mathbf{P}_0$, $\mathbf{P}_1$, $\mathbf{P}_2$, $\mathbf{P}_3$ が制御点に該当します。

ドカステリョのアルゴリズムを数式で表して、ベジェ曲線の方程式を求めます。

ド・カステリョのアルゴリズム

まず、ベジェ曲線が描かれるアルゴリズムの直感的な理解をします。

①制御点の順番を決める

次のベジェ曲線を考えます。アンカーポイントは $\mathbf{P}_0$ と $\mathbf{P}_3$ が該当します。

制御点の順番を $\mathbf{P}_0$→$\mathbf{P}_1$→$\mathbf{P}_{2}$→$\mathbf{P}_3$ とします。

②同じ比に内分する点の作図

隣り合う制御点を $m:n$ に内分する点を作図します。

今回は、3つの点ができます。

③同じ比に内分する点の作図

いまできた3点について,さらに隣り合う点同士を,また $m:n$ に内分する点を作図します。

今回は、2つの点ができます。

④同じ比に内分する点の作図

いまできた2点について,さらに隣り合う点同士を,また $m:n$ に内分する点を作図します。

この作業を繰り返した結果、1点だけになりました。

この最後の点がベジェ曲線上の点と一致します。

⑤他の点も作図

他の比でも同じ作業をしていって、たくさん点を作ったら、その集まりがベジェ曲線になります。

$m:n = 1:0$ のとき、はじめのアンカーポイントの $\mathrm{P}_0$ です。

$m:n = 0:1$ のとき、ゴールのアンカーポイントの $\mathrm{P}_1$ です。

ベジェ曲線の数学の理解

先の直感的な作図に照らし合わせて、ベジェ曲線の定義式を作っていきましょう。

①図と式を対応させる

$\mathbf{P}_0$ と $\mathbf{P}_3$ がベジェ曲線の端点(アンカーポイント)になるべき点です。

イラストレータでは、線分 $\mathbf{P}_0 \mathbf{P}_1$ と $\mathbf{P}_3 \mathbf{P}_2$ がハンドルと対応する。

②制御点を結ぶ線分の内分点をつくる

$\mathbf{P}_0$→$\mathbf{P}_1$ と $\mathbf{P}_1$→$\mathbf{P}_2$, $\mathbf{P}_2$→$\mathbf{P}_3$ の間をそれぞれ $m: n = t : 1-t$ に内分する点を $\mathbf{P}_{1,0}(t)$, $\mathbf{P}_{1,1}(t)$,$\mathbf{P}_{1,2}(t)$ とします:

  • $\mathbf{P}_{1,0}(t) = (1-t) \mathbf{P}_0 + t\mathbf{P}_1$
  • $\mathbf{P}_{1,1}(t) = (1-t) \mathbf{P}_1 + t\mathbf{P}_2$
  • $\mathbf{P}_{1,2} (t)= (1-t) \mathbf{P}_{2} + t\mathbf{P}_3$

③更に内分点をつくる

いまできた点について,$\mathbf{P}_{1,0}$→$\mathbf{P}_{1,1}$ と $\mathbf{P}_{1,1}$→$\mathbf{P}_{1,2}$ の間をそれぞれ,また $m: n = t : 1-t$ に内分する点を $\mathbf{P}_{2,0}(t), \mathbf{P}_{2,1}(t)$ とします:

  • $\mathbf{P}_{2,0}(t) = (1-t) \mathbf{P}_{1,0} + t\mathbf{P}_{1,1}$
  • $\mathbf{P}_{2,1}(t) = (1-t) \mathbf{P}_{1,1} + t\mathbf{P}_{1,2}$

④もういちど繰り返す

さらに,点$\mathbf{P}_{2,0}(t)$ → $\mathbf{P}_{2,1}(t)$ の間を結んで,また,$m: n = t : 1-t$ に内分する点 $\mathbf{P}(t)$ を決める:

  • $\mathbf{P}(t) = (1-t) \mathbf{P}_{2,0} + t\mathbf{P}_{2,1}$

⑤式を整理する

点 $\mathbf{P}_{2,0}(t)$ と $\mathbf{P}_{2,1}(t)$ は,今までの式を組み合わせると,初めの制御点 $\mathbf{P}_0$, $\mathbf{P}_1$, $\mathbf{P}_2$, $\mathbf{P}_3$ で表すことができる。$\mathbf{P}(t)$ をはじめの制御点で表すと,

$\mathbf{P}(t) = (1-t) \mathbf{P}_{2,0} + t\mathbf{P}_{2,1}$
$= (1-t)^3 \mathbf{P}_0$ $+3(1-t)^2 t \mathbf{P}_1$ $+3(1-t) t^2 \mathbf{P}_2$ $+ t^3 \mathbf{P}_3$
$\displaystyle = \sum_{k=0}^{3} {}_3 \mathrm{C}_k \ (1-t)^{3-k} \ t^k \ \mathbf{P}_k$

となる。

実数 $t(0 \leqq 0 \leqq 1)$ を1つ決めて,内分比 $m:n=t:(1-t)$となるように作った点が $\mathrm{P}(t)$ であった。

$t$ を0から1に動かしたときの軌跡である方程式 $\mathrm{P}(t)$ が3次ベジェ曲線である。

⑥一般化する

以上により, 一般の $n$ 次ベジェ曲線の数式は次のとおりである:

$$\displaystyle \mathbf{P}(t) = \sum_{k=0}^{n} {}_n \mathrm{C}_k (1-t)^{n-k}t^k \mathbf{P}_k$$

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