「方べきの定理」とは

円周上にある4点と他の1点について成り立つ定理のこと。

点の方べき

中心が $\mathrm{O}$ で半径 $r$ の円がある. 平面上の任意の点 $\mathrm{P}$ について,

$\Pi(\mathrm{P}) = \mathrm{PO}^2-r^2$

と定め, これを点 $\mathrm{P}$ の方べきと呼ぶ.

方べきの性質

円周上にない点 $\mathrm{P}$ を通る直線が円と点 $\mathrm{A}$ と $\mathrm{B}$ で交わっている. このとき,

$\mathrm{PA}\cdot \mathrm{PB} = |\Pi(\mathrm{P})|$

が成り立つ.

A. 方べきの定理

円周上にない点 $\mathrm{P}$ を通る2本の直線が点 $\mathrm{A}$ と $\mathrm{B}$, 点 $\mathrm{C}$ と $\mathrm{D}$ で円とそれぞれ交わるとする. このとき, $\mathrm{PA} \cdot \mathrm{PB} = \mathrm{PC}\cdot \mathrm{PD}$ が成立.

B. 方べきの定理(接線)

円の外部の点 $\mathrm{P}$ を通る2本の直線について, 一方が円と点 $\mathrm{A}$ と $\mathrm{B}$ で交わり, 他方が円と点 $\mathrm{T}$ と接する. このとき, $\mathrm{PA} \cdot \mathrm{PB} = \mathrm{PT}^2$ が成り立つ.

C. 方べきの定理の逆

4点 $\mathrm{P}$, $\mathrm{B}$, $\mathrm{C}$, $\mathrm{D}$ について, 直線 $\mathrm{AB}$ と $\mathrm{CD}$ が点 $\mathrm{P}$ で交わるとする. 点 $\mathrm{P}$ は線分 $\mathrm{AB}$ と 線分 $\mathrm{CD}$ のそれぞれの内部か, それぞれの外部にあるとする. このとき, $\mathrm{PA}\cdot \mathrm{PB} = \mathrm{PC} \cdot \mathrm{PD}$ ならば 4点は同一円周上に存在する.

ポイント解説

A

$\mathrm{PA}\cdot \mathrm{PB} = |\Pi(\mathrm{P})| = \mathrm{PC}\cdot \mathrm{PD}$

B

$\mathrm{PT}^2=\Pi(\mathrm{P})$ でもある.

C

仮定から$\triangle \mathrm{PAB}$ ∽ $\triangle \mathrm{PCD}$が成立. 円周角の定理の逆から結論が従う.

Bの方べきの定理の逆

線分$\mathrm{AB}$の延長線上の点$\mathrm{P}$と直線$\mathrm{AB}$上にない点 $\mathrm{T}$が $\mathrm{PA} \cdot \mathrm{PB} = \mathrm{PT}^2$ を満たすならば, $\mathrm{A}$, $\mathrm{B}$, $\mathrm{T}$がつくる円に直線$\mathrm{PT}$は接する.

原論

第3巻命題34