虚数単位のことを $i$ と名付けました。つまり、$i^2 = -1$ となる存在のことを虚数単位 $i$ と呼びます。

頻繁に、i は ルートマイナス1( $i = \sqrt{-1}$ )と表記されますが、これは当たり前のことなのでしょうか?

頻繁に、$i$ は文字の計算に従って、$2 \times i = 2i$ としてよいんだよ、と言われますが、$i$ って文字なのですか?

いつ習ったのでしょうか?

疑問に思わないでしょうか?このブログが解決します!

今回は、この式を確かめるために、非常に緻密な議論をしたいと思います。この式は当たり前と思えるかもしれませんが、実は、ルートの使い方を拡張することが必要です。また、$2 i $のような存在を考えるためには、$i$ と実数の掛け算(虚数単位の定数倍)を新しく決める作業が必要です。

学校の授業では、ほとんど語られない、精密な議論を解説します。この解説を通して、複素数を自らの手で構築しているという認識、そして、複素数の存在を確かに認められるという意識を得てもらえると嬉しいです。

虚数単位iの数学的な存在の立場

虚数が、「自分の知っていることと結びつける」ことができないモノの一つであること、その存在の意義は数学的な見方によって認める、ことは、次のサイトで解説しております。

虚数(複素数)の存在の立場を詳しく解説しました!

複素数を習うと、まず初めに、虚数単位 $i$ を習います。この $i$ の存在を認識するためには、数学の立場を知っておかなければなりません。しかし、この数学の立場を授業…

虚数単位を導入した時に、得られる計算法則は、$i^2 = -1$ の式だけです!(上のサイトで得られた性質は、$i^2 = -1$ だけです。)

  • $i$ が数としての四則演算ができるかは全く分かりません。( $i \times i = -1$ という掛け算だけができると分かっていることです。)
  • $i$ の大小関係は全く分かりません。正の数なのか、負の数なのかも分かりません。
  • $i$ が現実世界に存在するのかも分かりません。

ただ単に、2乗して $-1$ となる「モノ(存在)」を、$i$ と置きました。それ以上のこともそれ以外のことも何もしておりません。

さて、ここからが、この記事の本題です!

虚数単位は、ルートマイナス1なの?

虚数単位は「 $i$ 」です。現在は、これ以上でも以下でもありません。

よく $i = \sqrt{-1}$ と表記されます。これは、どういった理屈なのでしょうか?これは良いのでしょうか?ルートの記号の中身の数字はマイナスはダメって習った気がします。

ここには、ルートの使い方をレベルアップさせた、ということが潜んでいます。ここに気づいていますか?

ルートの定義を復習します。

$a > 0$ のとき、$x^2 = a$ の解の一つを $x = \sqrt{a}$ と定める。

これが、ルートの利用方法、ルートの定義です。

大切なポイントは、$a$ が正のときしか、ルートの記号を使えない、ということです。$a$ がマイナスの数のときは、

ルートを使ってはいけない

と習ったかもしれませんが、本当はそうではなく、

ルートを使っても良いか使ってはいけないのか全く決めていない

と解釈してください。

つまり、$a$ が負の数のときにルートは絶対に利用してはいけないと誰かが決めてしまっていた訳ではないのです!

ルートの中がマイナスのとき、ルートを使ってはいけない訳ではありませんので、$x^2 = -1$ という方程式の解の一つを、$x = \pm \sqrt{-1}$ と書くことにします!

ルートの新しい使い方を今決めた、ということになります!(マイナスの時の利用方法を決めていなかったので、決めるのは早い者勝ちと考えましょう。)

一方で、$i$ とは、2乗して $-1$ となる存在、すなわち、$x^2 = -1$ の解でした。( $x = \pm i$ と言える。)

この二つの新しい考え方(と取り決め)を踏まえると、

$i = \sqrt{-1}$

と解釈することが妥当だと思うことができます

この式の意味を再述すると、左辺は、そもそも $i$ とは $x^2 = -1$ の解定めた、右辺は、ルートの新しい使用法を定めて得られた、これらは、一致すると見なすことができる

自然に成り立つ式を見出したのではなくて、実は、新しい取り決めをふんだんに行うことで、

$i = \sqrt{-1}$

という式を創り出したのです!

虚数単位の定数倍の理解の仕方

虚数単位 $i$ は四則演算ができるか分かりません。でも、$i \times i$ はできるので、掛け算から考えることが適切そうです。

実数の世界の計算ルールを真似して、(実数)かける(虚数単位)の計算を研究してみます。

$x^2 = -1$ ではなくて、$x^2 = -2$ という方程式を考えてみます!( $x^2 = -1 \times 2$ ですね。)

もし、$i$ を文字のように考えると、$(\sqrt{2} i )^2 = 2 i ^2 = -2$ とできます。この式が成立すると非常に都合が良いので、先ほど決めたルートの記号の利用方法を新たに追加したいと考えます。

私たちの知る実数では、$x^2 = a \times b$ ならば $x^2 = \sqrt{a \times b} = \sqrt{a} \times \sqrt{b}$ が成立します。

先ほど新しく決めたルートの利用方法に、これと同様の計算が成り立つことをプラスします!

つまり、$x^2= -2$ はルートの新しい計算方法により $x = \sqrt{-1} \times \sqrt{2} = \sqrt{2} \times i$ とできる。

  • $i$ を文字と同様の計算が成り立つとすると、$\sqrt{2}i$ は $x^2 = -2$ の解であると見なすことができる
  • ルートの新しい計算方法を決めると、$\sqrt{2} \times i$ が、$x^2 = -2$ の解であると言える

この二つの考え方を通して、

$\sqrt{2} \times i = \sqrt{2} i$

という関係式が成り立つと考えることが適切であると思えます。言い換えると、$\sqrt{2}$ と $i$ の積は、$\sqrt{2} i$ というよく分からない存在(でも、数学の計算としては便利な存在)として表すことができることが分かりました。

また、$x^2 = -3$ から、$\sqrt{3}\times i = \sqrt{3} i$ を考えることができ、$x^2 = -4$ から、$2 \times i = 2i$ と考えることができます

これらを踏まえると、(実数)かける(虚数単位)という掛け算を取り決めることがが出来ました。もちろん、多くの新しい取り決めを行いましたので、何か不具合(矛盾)がどこかで起こるかもしれません。このように疑問を抱くことは当然です。

しかし、実際には、嬉しいことに何も矛盾は起きません。今後、色々な計算をして、矛盾が起こらないことを確かめていきましょう。

虚数単位の定数倍について(まとめ)

ここまでで得られたことは以下のことです:

$x^2 = -1$ の一つの解を $i$ とする。ルートの記号の使い方をレベルアップさせて $\sqrt{-1}$ と書けるようにすると

  • $i = \sqrt{-1}$

という解釈を得ることができる(公式が得られる)!

実数 $a$ と虚数単位 $i$ の積 $ai$ は、どういった存在かは分からない。

方程式 $x^2 = - a^2$ の解を表すモノとして解釈することで存在を認めます。ひとまず、$ai$ の存在は、$x^2 = - a^2$ の解ということで認めてる(存在を仮定する)。

新しいルートの使い方として $\sqrt{AB} = \sqrt{A} \times \sqrt{B}$ ( $A$ と $B$ が負の数であっても)が成立すると決めると、$\sqrt{-a^2} = \sqrt{-1} \times a$ が成り立ち、これも解と見なせる。

  • $a i$ と$a \times i$ はいずれも $x^2 = -a^2$ の解である。したがって、$a \times i = ai$ としてもよいと解釈できる
  • この左辺は虚数単位と実数の掛け算を表ている。つまり、(実数 $a$ )×(虚数単位 $i$ ) は、方程式 $x^2 = -a^2$ の解として存在するモノと認められる。←文字の計算と同様の計算をすることが合理的でだったと言える。
  • $ai$ は $i$ と同様に、何かしらのモノ(存在)である。

ここまで、非常に丁寧に議論をしましたので、疲れたかもしれません。

以上の話がきちんと分かれば、虚数単位の計算については、理解ができたと思います。もちろん、たくさんの疑問が生じることは当たり前ですので、自分の問いを持てば確かめてみましょう!

ここまで、お読みいただきありがとうございます!

このブログの続きと連載の説明ブログは、以下のリンクです:

解の公式の虚数解と複素数a+biの形って似ていない?

複素数の存在がよく分からない、と疑問を持つ方がいらっしゃいます。このブログは、こういった疑問に解答していくための連載ブログです!今回は、次のお悩みを解決します…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です