- 表紙
- まとめ
- 具体例
「実数」とは
モノの長さに対応する数のこと。
構成法
デデキント切断や有理数の完備化の方法が知られている.
A. 実数 $\mathbb{R}$ の性質
- 順序がある(全順序性)
- 隙間がない(稠密・完備性)[幾何的性質]
- 加減乗除ができる(体)[代数的性質]
- 濃度は $\aleph_1$(アレフ・ワン)である
B. 実数の小数表示
- 有限小数は有理数である
- 循環する無限小数は有理数である
- 循環しない無限小数は無理数である
C. 実数に関連する表記方法( $x \in \mathbb{R}$ とする )
- 整数部分:ガウス記号$[x]$ もしくは床関数 $\lfloor x \rfloor$
- 小数部分:$x- \lfloor x \rfloor$
- 大きさ:絶対値 $|x|$, 符号:符号関数 $\mathrm{sgn}(x)$
ポイント解説
イメージ
数直線と対応する。無理数は, 有理数では測りきれない長さを表す。
有理数
整数の比(分数)で表される数である( $\mathbb{Q}$ )。
無理数
実数のうち, 有理数ではない数である( $\mathbb{R}\backslash \mathbb{Q}$ )。
例:$\sqrt{2}$, $\tan 1^{\circ}$, $\log 2$, $\pi$, $e$, 黄金数 $\phi$
A
実数の公理というものがあり, ほぼこれから従う。
B
(1)
既約分数表示の際, 分母の素因数は $2$ と $5$ のみ
である。例えば,
$0.25$
は $\frac{25}{100} = \frac{1}{4}$ であり, 有理数と分かる。
(2) 例えば,
$x=0.\dot{2}\dot{5}$
は $100x-x$ $=25.\dot{2}\dot{5}-0.\dot{2}\dot{5}$ であり, $x = \frac{25}{99}$ とでき, 有理数と分かる。
(3) 例えば,
$\sqrt{2} = 1.41\cdots$
を $\frac{m}{n}$( $m$ と $n$ は互いに素な整数で $n \neq 0$ ) と仮定すると, 矛盾が生じる。ゆえに, $\sqrt{2}$ は無理数と分かる。
発展
無理数は代数的数と超越数に分類できる。
具体例
関連事項
無理数を含む演算の結果が有理数
$\sqrt{2} +(- \sqrt{2})=0$
$\sqrt{2} \times \sqrt{2}=2$
$2^{\log_23}=3$
超越数
代数方程式の解とならない無理数のこと。
$\pi + e$ は超越的か代数的かは未解決。
import math
# 円周率の小数近似
print(math.pi)
# ルート2の小数近似
print(math.sqrt(2))
# log_{10}2の小数近似
print(math.log(2,10))
# ネイピア数の小数近似
print(math.e)
類似の数列
①有限小数が有理数であること
具体例 $2.153$ で確認する。
有理数とは,(整数)/(整数)と表される数だった。
$$2.153 = \frac{2153}{1000}$$
$2153$ も $1000$ も整数である。
したがって,$2.153$ は有理数である。
②循環する無限小数は有理数であること
具体例 $2.\dot{1}5\dot{3} = 2153153\cdots$ で確認する。
$x = 2.\dot{1}5\dot{3}$ と置く。
両辺を$1000$倍した $1000x = 2153.\dot{1}5\dot{3}$ という数も考える。
$$\begin{array}{rrrrl}
&1000x & = & 2153.& 153\cdots\\
- \large{)}& x & = & 2.&153\cdots\\
\hline
& 999x & = & 2151 &
\end{array}$$
$$\displaystyle x =\frac{2151}{999} = \frac{239}{111}$$
ゆえに,次が言える:
$$\displaystyle 2.\dot{1}5\dot{3} = \frac{239}{111}$$
有理数とは,(整数)/(整数)と表される数だった。
したがって,$2.\dot{1}5\dot{3}$ は有理数である。
有理数と無理数の教え方(構想中)
有理数を「整数分の整数」とか「有限小数or循環小数」とか、ではなく、「何倍かしたら整数になるもの」もしくは「何個か合わせたら整数になるもの」と捉えれば「見える化」できるかもしれない。割り算とか、小数とかの概念ではなく、掛け算とか足し算の概念で理解した方が楽だと思う。【例:有理数】数直線上で有理数とは、基準の長さを当分に分けたときにできる長さ全てである。→数倍すれば整数になる。【例:無理数】$\sqrt{2}$ は何個集めても整数に成らない数のこと。
無理数について(所感)
よく、「ピタゴラスが無理数の存在を認めなかった」という主張があるけど、本当かなーって疑問を抱いた。「こんな綺麗な数だけで、任意の長さを表せられる」と思う方が不自然な気がする。もしかすると、無理数の存在を認めないという感覚的な問題ではなくて、記法的にも数学の証明的にも論理的に認めるための手段が無かったという気持ちなんじゃないかなーって感じる。昔の人の気持ちはどうなんだろーな。今を基準にして昔を図るのは良くないけど、どうなんでしょうね。