- まとめ
- コード
「絶対値」とは
数から符号や向きの情報を除いた大きさ(量)のこと。
定義
実数 $x$ の絶対値 $|x|$ は次の通り:
$|x| =\left\{ \begin{array}{cl}
x & (x \geqq 0) \\
-x & (x < 0)
\end{array} \right.$
A. 絶対値をはずす操作 $(x \in \mathbf{R}$, $c>0)$
- $|x| = c$ のとき, $x = \pm c$
- $|x| < c$ のとき, $-c < x < c$
- $|x|>c$ のとき, $x < -c, \ c<x$
定義
複素数 $z=a+bi$ の絶対値 $|z|$ は次の通り:
$|z| = \sqrt{z \cdot \bar{z}} = \sqrt{a^2+b^2}$
B. 絶対値の性質 $(z, w \in \mathbf{C})$
- $|z| \geqq 0$ であり, $|z|=0$ $\Longleftrightarrow$ $z=0$
- 【共役複素数の絶対値】$|z| = |\bar{z}|$
- 【和の絶対値】$|z|-|w| \leqq |z + w| \leqq |z| + |w|$
- 【差の絶対値】$|z|-|w| \leqq |z - w| \leqq |z| + |w|$
- 【積と商の絶対値】$|zw| = |z| \cdot |w|$, $\left| \frac{z}{w} \right| = \frac{|z|}{|w|}$
ポイント解説
イメージ
数直線上では, 絶対値は原点からの距離を表す。
定義
実数 $x$ について, 定義は①または②に言い換えらことができる;
①$|x| := \max\{ x, -x \}$
②$|x| := \sqrt{x^2}$
絶対値をはずす
複素数 $z$ と $r>0$ について, $|z| = r$ ならば, $\theta \in [0, 2\pi)$ の範囲において, 次の複素数に対応する:$$x = r(\cos \theta + i \sin \theta)$$
B
(3)(4)は三角不等式という。
発展
絶対値を一般化した概念がノルム $||\mathbf{x}||$ であり, 三角不等式が基軸になる: $$||\mathbf{x}+\mathbf{y}||\leqq ||\mathbf{x}|| + ||\mathbf{y}||$$
絶対値のPythonコード
絶対値を取得する
abs(-8)
絶対値を含む関数のグラフ
簡単な関数 $f(x) = x$ について,グラフを描画しましょう。
linspace
の特性上,刻みの数が偶数か奇数かで,$x = 0$ の箇所のグラフの形が変わることに注意する必要があります。
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np
x = np.linspace( -5, 5, 49)
y = abs(x)
plt.plot(x, y)
plt.show()