- 表紙
- まとめ
- 法則
- 折り紙
- 理解
数学のまとめノート
「式の展開」とは
多項式の積を単項式の和で表すこと。
分配法則
$a(x+y) = ax + ay$
が成り立つ.
A. 乗法公式(2次式の展開)
- $(x+a)(x+b)$ $=x^2 + (a+b)x + ab$
- $(x+a)^2 = x^2 + 2ax + a^2$, $(x-a)^2 = x^2 - 2ax + a^2$
- $(x+a)(x-a) = x^2-a^2$
B. 乗法公式(3次式の展開)
- $(x + a)^3 =x^3 + 3ax^2 + 3a^2x + a^3$, $(x - a)^3 = x^3 - 3ax^2 + 3a^2x - a^3$
- $(x + a)(x^2 - ax + a^2)=x^3 + a^3$, $(x - a)(x^2 + ax + a^2) = x^3 - a^3$
C. 乗法公式($n$次式の展開)
- $(x+a)^n$ $\displaystyle = \sum_{k=0}^n {}_{n}\mathrm{C}_{k} x^{n-k} a^k$【二項定理】
- $(x - a)(x^{n-1} +ax^{n-2} +\cdots +a^{n-2}x+a^{n-1})$ $=x^n-a^n$
- $(x + a)(x^{n-1} -ax^{n-2} -\cdots -a^{n-2}x+a^{n-1})$ $=x^n+a^n$ ( $n$ が奇数のときのみ)
ポイント解説
基礎
分配法則を基本として, 交換法則と結合法則から各公式が導かれる。
A
面積の意味をもつ↓

+α
文字3つの展開公式↓
$(x+y+z)^2$ $=x^2+y^2+z^2 +2xy+2yz+2zx$
B
体積の意味をもつ↓


発展
ある条件のもと任意の関数 $f(x)$ を展開できる(テイラー展開):
$$f(x) = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^m$$
分配法則などの役割
なぜ、中学校の授業の最初に、分配法則、交換法則、結合法則を習うのでしょうか?
「計算するときに成り立つことだから、計算を早くしたり、複雑な計算ができるようになるために、習っているんだよ。」
というのは、半分正解です。
算数と数学の違いを踏まえて、残りの半分(数学という学問における法則とは)を説明します。
分配法則、交換法則、結合法則
3つの法則を文字を使って整理しましょう。
- 分配法則:$a \times (b+c) = a \times b + a \times c$
- 交換法則:$a + b = b + a$ もしくは $a \times b = b \times a$
- 結合法則:$(a + b) + c = a + (b+c)$ もしくは $(a \times b) \times c = a \times (b \times c)$
眺めるだけではなく、具体的な数字で確かめることが大切です。
例えば、$a = 3$, $b=4$, $c=5$ とします。
分配法則について
分配法則は、次の通り成り立ちます!
(左辺) = $3 \times (4 + 5)$ = $3 \times 9 = 27$
(右辺) = $3 \times 4 + 3 \times 5$ = $12 + 15 = 27$
交換法則について
交換法則は、次の通り成り立ちます!(積の交換法則は省略します。)
(左辺)= $3+4 = 7$
(右辺)= $4+3=7$
結合法則について
結合法則は、次の通り成り立ちます!(積の結合法則は省略します。)
(左辺)= $(3+4)+5$ $=7+5=12$
(右辺)= $3+(4+5)$ $=3+9=12$
以上、数の計算に関する法則を確認できました。
数の計算から文字の計算へ
ここで疑問を持つ人が正解です←この疑問が大切!。
文字を使って、「法則だよ」と伝えています。これについて、すぐに腑に落ちているでしょうか?

具体的な数字で3つの法則が成り立つことは信じられる。
でも、文字の計算に、この法則が成り立つの?
ってか、そもそも文字の計算って何?
この疑問は当然の疑問です!
実は、文字の計算では、3つの法則が(元から)成り立つ、のではなく、3つの法則が成り立つように計算を決める(定義する)と考えています!
数学で「法則」を学ぶ理由
分配法則、交換法則、結合法則の役割
分配法則、交換法則、結合法則を学ぶ理由は、次の2つです。
- 自然数(や分数、小数)の数に共通して成り立つ法則が、分配法則、交換法則、結合法則だから学ぶ
- 文字の計算や、他の数(マイナス、複素数、ベクトルなど)の計算ルールを決めるために、分配法則、交換法則、結合法則を基準にして決めるから学ぶ
理由の①は多くの皆さんが知っていることかもしれません。
文字の計算、マイナスの数、ベクトルや複素数の計算など、身の周りの秩序で計算法則が分からない数の計算については、「3つの規則が成り立つように計算ルールを決める」という立場で考えます。
算数と数学の考え方の区別
この考え方から、算数と数学の区別をしましょう。
算数とは①の考え方をしていく勉強であり、数学とは②の考え方をしていく学問のことです。
算数の勉強
算数では、自然数(や分数、小数)について数の計算で成り立つ法則を見つけていく勉強をしている。
数学の勉強
新しい「数」を創る(発見する)。算数で見つけた法則をベースにして、その数の計算規則はを理解していく(決めていく)勉強をしている。
このような考え方を頭に入れておくと、算数の殻を破って数学を受け入れやすくなります。
例えば、中学校・高校では、マイナスという新しい数の計算、複素数という新しい数の計算が登場します。これらには数学の力が必要になります。
新しい数の計算のルールを決めるために、今までで知っている数の計算の規則をベースにすることが数学を深く理解するために必要です!
折り紙で式の展開
式の展開の知識をオリガミ(折り紙)で体験します。
応用力を磨きたい人にオススメです!
高校数学の単元学習、普段の勉強を楽しく取り組みたい人にもオススメです。


目次
分配法則とオリガミ
$a(x+y) =ax+ay$







乗法公式とオリガミ
1つ目:$(x+y)^2=x^2+2xy+y^2$








2つ目:$(x-y)^2=x^2 -2xy+y^2$








※ラストの写真は「$x^2$」ではなく「$a^2$」の間違いです。
3つ目:$(x-a)(x+a)=x^2 -a^2$








4つ目:$(x+a)(x+b)=x^2 +(a+b)x +ab$







文字で置き換えて展開する計算のオリガミ
$(a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2 +2ab +2bc +2ca$








ここまで!
式の展開の具体例
①$a(x+y)$ の展開
数の計算において,次のような分配法則はいつでも成り立つ。
$8 \times (10 + 2) = 8 \times 10 + 8\times2$
文字式の計算でも「分配法則」が必ず成り立つものと要請します。$$a(x+y) = ax + ay$$
②$(a+b)x$ の展開
分配法則 $a(x+y) = ax + ay$ と交換法則 $ax = xa$ を仮定する。
左辺から右辺を導く:
$(a+b)x$
$= x(a+b)$
$= xa + xb$
$= ax + bx$
よって,次が成立する:
$$(a+b)x = ax + bx$$
③$(x+a)(x+b)$ の展開
$a(x+y) = ax + ay$ と $(a+b)x = ax + bx$ を利用して,左辺から右辺を導く:
$(x+a)(x+b)$
$=(x+a)x + (x+a)b$
$= x^2 + ax + xb + ab$
$= x^2 + ax + bx + ab$
$= x^2 + (a+b)x + ab$
よって,次が成立する:
$$(x+a)(x+b) = x^2 + (a+b)x + ab$$
④$(x+a)^2$ の展開
③の式を利用して,左辺から右辺を導く:
$(x + a)^2$
$= (x + a)(x + a)$
$= x^2 + (a+a)x + a\cdot a$
$= x^2 + 2ax + a^2$
よって,次が成立する:
$$(x+a)^2 = x^2 + 2ax + a^2$$
⑤$(x-a)^2$ の展開
④の式を利用して,左辺から右辺を導く:
$(x - a)^2$
$= (x + (-a))^2$
$= x^2 + 2 \times (-a)x + (-a)^2$
$= x^2 - 2ax + a^2$
よって,次が成立する:
$$(x-a)^2 = x^2 - 2ax + a^2$$
⑥$(x+a)(x-a)$ の展開
③の式を利用して,左辺から右辺を導く:
$(x+a)(x-a)$
$= (x+a)(x+(-a))$
$= x^2 + (a + (-a))x + a \cdot (-a)$
$= x^2 + 0x -a^2$
$= x^2 -a^2$
よって,次が成立する:
$$(x+a)(x-a) = x^2 - a^2$$