- まとめ
- 表紙
- ①感覚
- ②位相
- ③理解
- ④コード
「トーラス」とは
ドーナツのように空洞が1つある曲面のこと。
定義
$\mathbf{T} = \mathbf{S}^1 \times \mathbf{S}^1$;円を円周でグルッと回転させたもの.
$R, r > 0$ のとき,
トーラスの方程式は次の通り:
A. ループ
水平方向の円周 $\mathbf{S}^1$ はロンジチュードループ(緯線)であり, 垂直方向の円周 $\mathbf{S}^1$ はメリディアンループ(経線)である。
B. 方程式
$(\sqrt{x^2+y^2}- R)^2 + z^2 = r^2$
C. 媒介変数表示
$\left\{ \begin{array}{rl}
x &=& (R + r \cos \theta) \cos \varphi \\
y &=& (R + r \cos \theta) \sin \varphi \\
z &=& r \sin \theta \end{array} \right. $
ポイント解説
トーラスのイメージ
穴の空いたもの
ドーナツや浮き輪の表面の形をトーラスと言います。
画像にはトーラスが3つ写っています。
ゲームのマップ
ドラゴンクエストのマップなどのように、マップの左から出ると右から出てきて,マップの上から出ると下から出てくる世界はトーラスの形です。
トーラスの世界アニメ作成しました。
トーラスのトポロジー
トーラス上のループ(円周)
水平方向に回転する円周 $\mathbf{S}^1$ は,ロンジチュードループ(緯線)と呼ばれる。
垂直方向に回転する円周 $\mathbf{S}^1$ は,メリディアンループ(経線)と呼ばれる。
これらにより,トーラスは「円周を円周でグルッと回した形状」と言える。
定義(トーラス)
$$\mathbf{T} = \mathbf{S}^1 \times \mathbf{S}^1$$
トポロジー的定義
問い
トーラスの位相(トポロジー)ってなに?
命題
トーラスの展開図は,四辺形である。四辺形の対辺どうしをそれぞれ同じ向きに貼り合わせるとトーラスができる。
❶トーラスを展開する
トーラスを展開する過程を描画した。
❷四辺形を貼り合わせる
四辺形の対辺の貼り合わせ方を図示した。
また,ロンジチュードループとメリディアンループが展開図で,どのように描写されるのかも描いた。■
トーラスの位相的構造
トーラスの数式
トーラスの方程式
媒介変数表示
$R, r > 0$,$0 \leq \theta, \varphi < 2 \pi$ のとき,次式はトーラスを表す:
$$\left\{\begin{array}{rl}
x &=& (R + r \cos \theta) \cos \varphi \\
y &=& (R + r \cos \theta) \sin \varphi \\
z &=& r \sin \theta \\
\end{array} \right. $$
方程式
$R, r > 0$ のとき,トーラスの方程式は次の通り:
$$(\sqrt{x^2+y^2}- R)^2 + z^2 = r^2$$
観察
この方程式は,ロンジチュードループの半径が $R+r$ から $R-r$ の間を取り,メリディアンループの半径が $r$ のトーラスを表す。
媒介変数表示で説明します。
❶ ロンジチュードの観察
変数 $\theta$ を固定して,できる図形を観察する。次の2式が成立する:
$$\left\{ \begin{array}{cl}
x^2 + y^2 &=& (R + r \cos \theta)^2 \\
z &=& r \sin \theta
\end{array} \right. $$
これは $z$軸上の点を中心とする水平方向に広がる円周(ロンジチュード)を表す。
$\theta$ | $0$ | $\pi/2$ | $\pi$ | $3\pi/2$ | $2\pi$ |
$z$ | $0$ | $R$ | $R-r$ | $R$ | $R+r$ |
半径 | $R+r$ | $R$ | $R-r$ | $R$ | $R+r$ |
変数 $\theta$ を $0 \to 2 \pi$ と動かすと,最も外側の円周( $z=0$ )→頂上部の円周( $z=1$ )→最も内側の円周( $z=0$ )→最下部の円周( $z=-1$ )→最も外側の円周( $z=0$ )と曲面を描くことが分かる。
❷ メリディアンの観察
変数 $\varphi$ を固定して,できる図形を観察する。次の2式が成立する:
$\cos \varphi = 1$,$\sin \varphi = 0$ のとき($\varphi = 0$),次式が成り立つ:
$$(x-R)^2 + z^2 = r^2$$
これは 垂直方向の円周(メリディアンループ)を表す。
$\varphi = 0$ ではないときは,図形を $z$ 軸を中心に $xy$平面を$-\varphi$ だけ回転すれば,同様に $\theta$ が描く図形は垂直方向の円周だと分かる。
つまり,$xy$ 平面の偏角 $\varphi$ の場所のメリディアンループである。
結論として,描かれる図形がトーラスと分かる。
ロンジチュードループの半径は $R+r$ から $R-r$ である。また,メリディアンループの半径は $r$ である。■
トーラスの計量
問い
トーラスの表面積や体積も求めることができるの?
命題
トーラスの表面積は $4 \pi^2 rR$ であり,体積は $2 \pi^2r^2 R $ である。
❶ 表面積
メリディアンループの周の長さが,半径 $R$ の円(ロンジチュード)の分だけあるので,
$$2 \pi r \times 2 \pi R = 4 \pi^2 rR.$$
❷ 体積
メリディアンループの円の面積が,半径$R$ の円(ロンジチュード)の分だけあるので,
$$\pi r^2 \times 2 \pi R = 2 \pi^2 r^2 R.$$
トーラスのPythonコード
トーラスの媒介変数表示によるコード
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from mpl_toolkits.mplot3d import Axes3D
# トーラスの媒介変数表示の関数
def torus_parametric(u, v, R, r):
x = (R + r * np.cos(v)) * np.cos(u)
y = (R + r * np.cos(v)) * np.sin(u)
z = r * np.sin(v)
return x, y, z
# 媒介変数の範囲
u = np.linspace(0, 2 * np.pi, 100)
v = np.linspace(0, 2 * np.pi, 100)
u, v = np.meshgrid(u, v)
# トーラスのパラメータ
R = 3 # 大円の半径
r = 1 # 小円の半径
# 媒介変数を用いて座標を計算
x, y, z = torus_parametric(u, v, R, r)
# 3Dプロット
fig = plt.figure()
ax = fig.add_subplot(111, projection='3d')
ax.plot_surface(x, y, z, cmap='viridis')
# すべての軸の目盛を合わせる
ax.set_box_aspect([np.ptp(coord) for coord in [x, y, z]])
# グラフを表示
plt.show()